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東急 大橋会館(池尻大橋)リノベーション

2023.08.30
㊨大橋会館外観㊧2階シェアオフィス共用ラウンジ。さまざまな形状のテーブル、いすが並ぶ

 レトロな建物が時代とマッチング 地元クリエーターと連携

 18日グランドオープン

 東急が東京・池尻大橋エリアで進めていた「大橋会館」のリノベーションが完成し、同名の複合施設として18日にグランドオープンした。築半世紀近い5階建ての建物を、地元で活躍するクリエーターと連携し、飲食や物販、シェアオフィス、シェア型ホテルレジデンスなどの機能を持たせて再生。建物をほぼ元のまま活用することで、レトロ感がありつつ時代に合った機能とクリエーターのデザイン力がマッチしたユニークな施設となった。(鴻田 恭子記者)

 ミックス感あるまちに開かれたユニークな施設

 池尻大橋は渋谷から1駅ながら、公園が多くローカルな風情もある落ち着いたエリア。大橋会館は、東急電鉄田園都市線池尻大橋駅東口から徒歩5分の場所にあり、向かいには銭湯やマンションなどが立地している。建物は地上5階・地下1階建てで、延べ床面積約3735平方㍍、主に宿泊・研修施設として使われていた。

 この建物を取得した東急は、本格的な再開発を前に、現在の建物を暫定活用しつつ大規模開発とは異なる沿線開発の将来の方向性を探る方針を立て、地元クリエーターと連携してリノベーションを進めた。

 全体の企画とプロデュースは、渋谷のコンサルティング会社301(サンマルイチ)をパートナーに推進。設計やデザインなどには、複数の建築・設計事務所やデザイン会社・チームなどが加わった。議論を通じて出された池尻大橋の特徴は「さまざまな人を受け入れ、いろいろなカルチャーがミックスされたまち」。そこで、ミックス感のあるまちに開かれた施設を目指すことにした。

 1階にはカフェ・ワインバー・レストラン「Massif(マッシーフ)」が入居。店名は英語で山塊を意味しており、道路に面した大きな窓と、岩や木、鋼製パイプなどを使った内装が特徴的だ。

 朝はコーヒーとペストリー、昼から夜はワインと欧米の料理を日本の食材で表現したメニューを提供。使いたいシーンに合わせ、思い思いの時間を過ごせる場を目指した。カフェ・バーは8~23時、レストランとも月曜が定休日となる。

 1階のもう一つの施設はストア&スペース。こちらはコンクリート張りの多目的空間で、道路に面して大橋会館グッズや飲料などを販売するコーナーを設けた。営業12~19時、月曜日・火曜日定休。オープンから9月3日までは「CEKAI DESIGN FIGHTERS」と題し、10人のデザイナーが大橋会館をモチーフにTシャツをデザイン、販売枚数を競う企画を行っている。

 2、3階はシェアオフィス。個人向けの専有ブースや固定デスク、チーム向けの個室(約20~85平方㍍、22室)などを備える。2階には共用ラウンジも用意し、仕事の合間や終了後のくつろいだ時間に、オフィス利用者やホテルレジデンス滞在・宿泊者同士のコミュニケーションを生む場としている。

 

 長期滞在者の部屋をリレント

 4、5階はシェア型ホテルレジデンス。ホテルとレジデンス(住居)の二つの機能を持っており、長期滞在で契約する人が外泊を申請すると、その部屋がホテルとして再販され長期滞在者の利用料が減額される「リレント」の仕組みを導入している。全61室。開業に当たり、一部の部屋をクリエーター4人が滞在しつつ内装をデザインし、宿泊施設として提供する企画を展開している。

 4階にはリビングやワークスペースとして使える共用ラウンジとキッチン、ランドリーも用意。5階には100分単位で1回4人まで貸切利用できるプライベートサウナも設けた。サウナはオフィス利用者やホテルレジデンス滞在・宿泊者以外も利用できる。

 

 広域渋谷圏の魅力底上げに

 東急都市開発事業部事業戦略グループ主事の小池和希さんは、大橋会館について「池尻大橋は渋谷に近く、都会とローカル、新しいものと古いものなど相反するものが共存するまち。多くの要素をミックスし、一つのコンセプトに統合されない複合施設を作ることで、池尻大橋の魅力だけでなく広域渋谷圏としての魅力の底上げにもなる」と話している。

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