特集 JR北海道グループ 「JR北海道フレッシュキヨスクの〝エキソト〟展開」
JR関連施設外へ事業領域拡大
JR北海道フレッシュキヨスクは、JR北海道開発事業本部と連携して〝エキソト〟市場に視線を注ぐ。主力事業の一つ、スーパーマーケット「ジェイ・アール生鮮市場」では、札幌圏で9店舗を展開して既に一定の成果を収める中、JR札幌駅構内・周辺を中心に展開してきた収益の柱、物販や飲食事業では、新幹線関連工事、再開発の工事支障により店舗数が減少。収益確保へ事業領域をJR関連施設外へと広げている。31日には札幌・すすきのに「北海道四季マルシェ」2号店を開業する。(三浦 瑞基記者)
すすきのに「北海道四季マルシェ」2号店
初の物販出店 エキナカ外の新商業施設に
北海道四季マルシェは、1号店をJR札幌駅直結の商業施設「札幌ステラプレイス」(札幌駅総合開発運営)の駅西改札口付近に構える新業態店。旅行客ほか日常の駅利用者も視野に、食のセレクトショップをうたって、道内各地から集めた土産物や暮らしの食品を扱う。昨年11月に開業1周年を迎え、想定通りのターゲットの取り込みに成功するなど、この間の推移に同社は一定の手ごたえを示す。
2号店は、東急不動産などが開発し、11月30日にオープンした「COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)」(札幌市中央区)に進出する。ホテルや映画館も備えた地上18階建て複合商業施設で、JR駅からは離れ、札幌市営地下鉄南北線すすきの駅に直結。施設の第2期開業に合わせる。
店を構える地下1階は、北海道内で親しまれる食物販店舗を幅広く集めたフロア構成で、「北海道の美味しいものが詰まった、食のセレクトショップ」を掲げる四季マルシェのコンセプトと一致したことが出店の決め手となった。店名は「北海道四季マルシェ ココノ ススキノ店」。
広さは1号店よりも20平方㍍ほど広い350平方㍍。アイテム数は1200~1300程度を予定する。扱う商品は、エリアは北海道を代表する歓楽街として大勢の観光客が訪れるとあって、北海道銘菓を中心とした品ぞろえとしつつ、暮らしの食品も1号店をベースに用意。ショップ発プライベートブランド商品「 DO3TABLE(ドーサンテーブル)」も1号店同様に店頭を彩る。
客層は観光客に加え、周辺での飲食のついでで地元民が1号店以上に来店することを想定し、家庭への土産に「できたて」をテイクアウトできるスイーツコーナーを設ける。北海道にこだわった「サザエ十勝大名」「十勝しんむら牧場」「あべ養鶏場」の各商品を提供する。
エキソト新設商業施設への物販出店は今回が初。店舗担当者は「すすきのエリアは、全国、道内各地から多くの方が集まる地域。ご来店いただくお客さまに喜んでいただけるよう、幅広い品ぞろえや、気持ちの良い接客でお迎えしたい」と意気込む。
ショップ発PB商品 ドーサンテーブル 売れ行き好調
物販業
マルシェ1号店開業に合わせてリリースしたドーサンテーブルの売れ行きは好調だ。日常使いや土産使いに選ばれており、同社は「当初計画以上の実績でさらに成長している」と評価する。取り扱い箇所も増やし、現在は土産店「四季彩館」のほか、新千歳空港内「ANA FESTA」1店舗でも一部商品を販売。駅や北海道に限らず、道外からの利用も期待できる同社通販サイト「北の特急便」でも商品展開するなど、販路拡大を推進する。
ドーサンテーブルは「食事、お酒、おやつの3つのテーブルシーンをちょっといい時間に。」をコンセプトにラインアップする。道産の厳選食材にこだわり、職人が手塩にかける缶詰、ジャムなど、販路を持たない小規模製造者や技術のある業務用卸し専門会社といった道内メーカーの協力を得て商品を展開。開始時72種類だった商品群は、数量限定品も含めて現時点では88品まで拡大している。
通信販売は2022年12月の北の特急便リニューアルに合わせて開始。現状、実店舗での売り上げには及ばないが、来店が難しい道内外客へ代替購入手段を提供している意義は大きい。口コミなどでドーサンテーブルの認知度が今後一層上がることで、さらなる利用増が期待される。
昨年は、ジェイアール東日本企画(jeki)と連携してJR札幌駅改札内で秋から営業する期間限定立ち飲み店「BEER STAND SORACHI」でおつまみとして提供開始するなど露出も増やし、道内外の展示・商談会にも出展。他社北海道フェアでのスポット展開も実施して、道外での感触を得てきた。この取り組みは今年も継続し、ブランド認知度の向上をより加速させる。
担当者は「引き続き製造者と協力しながら一緒に成長していきたい。今後もさらに『北海道のおいしい』を探求し、お客さまにお届けできるよう取り組んでいく」と話す。最新のお薦め品は、希少な北海道産を使った「今日ジャム 北海道マンゴー」(1404円)、評判のたこをじっくり炊いた「北海道噴火湾産 たこやわらか煮」(698円)など。一番人気は「北海道厚沢部産紅はるか使用 完熟干し芋」(598円)だという。
2015年以来の新業態直営店 新札幌駅に
飲食業
飲食事業では昨年11月30日、15年以来となる新業態直営店「創作SUSHI 舎利バル」を千歳線新札幌駅、市営地下鉄東西線新さっぽろ駅に直結する同日開業の複合商業施設「BiVi新さっぽろ」(札幌市厚別区)でオープンした。周辺では大学やマンションが新設されるなど再開発が進み、「集客力の見込める施設」であり、新業態を始めるに当たり「小規模でスタートできる」施設環境だったことから出店判断した。飲食ではエキソトの前例はあるが現状は唯一となる。ほかはすべて札幌エキナカ。
舎利バルでは、「カジュアルに立ち寄れるおしゃれ寿司バル」をコンセプトに魚介、肉、野菜など旬の食材を生かした創作すしを提供。こだわりは、毎週金曜日夜に提供する「とれたてメニュー」で、その日の特急「北斗」で運んだ北海道函館市の旬の鮮魚を提案する。
オープン間もない中、日中は女性客、夜は幅広い客層から支持を得る。今後はデリバリーや新メニューの検討も深め、多店舗展開も視野に一層の新規客獲得へ努める。席数28席。11~22時。ラストオーダー21時30分。平日15~17時中休み。
今後
今後の〝エキソト〟への事業領域拡大について、同社は「さまざまな業態において次期中期経営計画期間中にさらなる出店を目指し、まずは出店先の調査・検討を進めていく」と視線は先を見据える。
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