東急 中期経営計画を策定 24年度から3カ年
東急は、2024年度から3カ年の中期経営計画を策定した。同期間を含めて目指すビジネスモデルを「交通/不動産を軸とした事業間シナジーと再投資により持続的成長を実現する長期循環型事業」とした。計画期間が、渋谷駅直上の「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期」や、東急百貨店本店跡地「Shibuya Upper West」など大型開発物件開業予定の27年度より前であることなどから、再起動の期間とし位置付け、経営基盤強化とともに資本効率などを重視する経営への転換を図る。
計画策定に合わせ、将来へのビジョンワードとして「Creative Act. 創造力でしなやかに 〝世界が憧れるまち〟を」を掲げ、創造力としなやかな行動で課題を解決し、未来をつくっていくという思いを表現した。未来に向けたビジネスモデルとして、軸となる交通事業と不動産事業では、面的開発による魅力あるまちづくりとエリア価値向上を図る。
生活サービス事業やホテル・リゾート事業は、各事業を成長させ事業間のシナジーを創出。さらに東急の強みを生かした新規領域探索などで事業領域を拡大する。これらの取り組みにより、循環型経営で企業価値を高めるコングロマリットプレミアムを実現する。
経営計画の基本方針では、内部成長のため、交通事業で▽安全・安心の追求▽運営の高度化▽沿線活力の創出▽鉄道ネットワークの価値最大化▽環境・社会課題解決――を推進。他既存事業は、顧客目線での追加投資によりポテンシャルを最大化。価格設定最適化や高付加価値戦略を組み合わせ、資産利回り向上を目指す。
成長投資は、不動産事業で進行中の案件を着実に進め、渋谷など重要拠点で収益最大化を図る一方、構想中のプロジェクトは工事費の影響など精査し、必要な場合は軌道修正していく。投資資金は総額をコントロールし、長期目線で地域へ循環再投資を行っていく。
住宅販売や資産回転型ビルなど資金効率の高い事業、不動産管理・リテールなどアセットを持たないフィービジネスにも注力。さらに、市況を意識した保有資産資金化で、循環再投資し、グリーンエネルギー領域への投資を強化していく。
基盤強化では、人的資本経営の推進、グループ横断でのデジタル推進基盤や業務効率化などを展開。強化領域や再構築領域を明確化し、経営資源再配分につなげる。
経営指標は、効率性や財務健全性、株主資本コストを意識し、EPS(1株当たり当期純利益)、ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産事業利益率)などを重視。26年度目標をEPS116円(23年度予想99・6円)、ROE8%(7・9%)、ROA3・5%(3・4%)とした。計画期間中の株主配当は1株当たり21円を下限とする。
3年間の投資総額は5100億円。内訳は、鉄道事業1500億円、既存事業1300億円、成長事業2300億円。
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