特集 相鉄グループ ゆめが丘開発プロジェクト進展
7月に「ソラトス」開業 病院や住宅など整備
交流形成し沿線価値向上へ
相模鉄道いずみ野線ゆめが丘駅と横浜市営地下鉄ブルーライン下飯田駅周辺約23万9000平方㍍のエリアで進められている「ゆめが丘開発プロジェクト(泉ゆめが丘地区土地区画整理事業)」(横浜市泉区)。相鉄グループは土地整備と、その後のまちづくりに深く関わり、ゆめが丘駅に隣接する大規模集客施設「ゆめが丘ソラトス」の整備や駅のリニューアル、住宅整備などを手掛けている。大規模集客施設は7月の開業予定で、半年前の今月6日には現地でプレス発表会が行われた。
(鴻田 恭子記者)
エリアは横浜市の西端、境川と和泉川に囲まれた東西約550㍍、南北約900㍍の区画。水に恵まれた農村地帯として発展し、現在も周囲には畑や観光農園、農産物直売所などが多い。1999年、相鉄、市営地下鉄とも湘南台(神奈川県藤沢市)まで鉄道路線が延長され、その一つ手前の駅としてゆめが丘駅が3月に、下飯田駅が8月にそれぞれ開業した。
相鉄・東急直通線でアクセス向上
相鉄グループは当時からエリアの開発の検討に加わり、2007年に相鉄アーバンクリエイツが事務局を務める泉ゆめが丘土地区画整理組合設立準備会が誕生。14年に同組合が設立され、開発プロジェクトが本格化した。さらに昨年3月には相鉄・東急直通線が開業し、このエリアから都心や東海道新幹線へのアクセスも向上している。
開発では、ゆめが丘、下飯田両駅間の区画を「センター地区」とし、ここにまちの核となる大規模集客施設や総合病院、集合住宅などを整備。周囲に中規模・小規模の店舗や事務所、集合住宅、戸建てなどを整備していくこととなった。
相鉄不動産が手掛ける集合住宅は賃貸マンション1棟(74戸)が5月に竣工予定。分譲マンション(約600戸)は29年にかけて建設予定で、戸建てについてもその前後に整備する方針だ。
大規模集客施設「ゆめが丘ソラトス」の建設・運営は、相鉄アーバンクリエイツと相鉄ビルマネジメントが担当。商業施設などの入る2棟(地上3階建て1棟、地上1階建てと屋上駐車場1棟)を連絡ブリッジでつなぐ構造で、3階建ての棟には立体駐車場棟を併設した。店舗面積は約4万2700平方㍍、約130店舗が入る計画とした。名称は「ゆめが丘の広大な空」から命名された。
この施設、新たなまちの核だけに、地域コミュニティーの形成を目指し、館内に共有スペースや地域とのつながりを深める工夫、子どもや親子連れが訪れやすい工夫などを施している。1階には生産者直売のマルシェ開催、シェアキッチンなどのスペースを設け、生産者がレシピを紹介するイベントなどを開催。2、3階にも、催事や展示場などに使える交流空間をそれぞれ用意した。
屋上には、相模鉄道キャラクター「そうにゃん」をモチーフにした遊具を備えた約3000平方㍍の広場「そうにゃんぱーく そらの広場にゃん」を整備し、子ども連れが気軽に立ち寄れる場にしていく。
テナントも、現在約110店舗が公表されており、大型ショッピングセンター(SC)の定番的な店舗と地元の人気店舗、さらにガーデニングやアウトドア、医療などエリアに合ったサービスがミックスされている。
神奈川の人気店や新業態店も
主な店舗は、食のゾーンである1階に、スーパーマーケット「そうてつローゼン」や神奈川を中心とする首都圏に拠点を置く青果、鮮魚など生鮮食品店、地元牧場直送の牛乳を使ったソフトクリームを販売する「Augusta MilkFarm(オーガスタ ミルクファーム)」など。飲食ゾーンは、藤沢市の人気料理店の洋食新業態「Kurumaya Grill(クルマヤグリル)」などが登場する。
2階はファッションやライフスタイルのフロアで、ユニクロやジーユー、TSUTAYA BOOKSTOREなど大型テナントも。3階は10スクリーンからなる「109シネマズゆめが丘」とフードコート、アミューズメントパーク「ASOBLE(アソブル)」が中心。フードコートは全9店舗、約700席。定番のファストフード「マクドナルド」や横浜の人気店「花板食堂 ISHIKAWA」、関東初出店の鶏料理店「鶏山劇場」などが並ぶ。
SAF化や配送ロボ計画
施設では、太陽光パネル設置により、施設の年間の施電気使用量の約7・5%を賄うほか、来店者の不要衣服を回収することによる再資源化、飲食店などで排出される生ごみのたい肥化や廃食用油のSAF(持続可能な航空燃料)化といった取り組みも日揮ホールディングス(横浜市)などと連携して推進。公道も走行できる自動配送ロボットによる購入品の配送なども計画している。
雨にぬれずに移動 ゆめが丘駅リニューアル
相模鉄道ではゆめが丘駅のリニューアル工事も進めており、施設開業に合わせて7月に同施設側にICカード専用の改札口を新設。駅と施設の間には屋根を設ける。相鉄グループの「デザインブランドアッププロジェクト」に基づき、外壁にれんがを採用、トイレの全面改修やコンコース階の壁面の再塗装、高架上のホーム上屋の鉄骨を新たな青系統の色に塗り直すなどしている。高架下には店舗や公共施設が入るスペースも整備中だ。
エリア内の「ゆめが丘総合病院」は4月1日に開業予定。医療法人社団鵬友会の運営で、26の診療科を持ち、救急医療にも対応。検診機関や調剤薬局も入る。
相鉄グループを含むエリアマネジメント活動の組織も夏ごろ立ち上げ。SAF化やたい肥を使った農作物育成など循環型社会につながる取り組みを地域に広げるほか、農業を軸にした体験イベント、多世代交流なども実施していく。
◇山本栄市相鉄アーバンクリエイツ事業推進部課長(ゆめが丘大規模施設プロジェクト担当)の話
「ゆめが丘ソラトス」は、二俣川駅の「ジョイナステラス二俣川」と並ぶいずみ野線沿線の核となる施設と考えている。通常、商業施設ではお客さまにお買い物をして帰っていただくが、相鉄グループとしてはゆめが丘の魅力、施設に来て周辺の自然や文化、農作物の収穫体験などを通じて魅力を知ってほしい。
地域の「ハブ」となる施設に
これから(マンション建設などを進め)まちをつくっていくと、ファミリー層が増えてくる。その時に地域のハブになる施設にしたい。買い物をしなくても半日遊べる場所なので、多くの方に来てもらえるとうれしい。
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