特集 北大阪急行電鉄 南北線延伸区間が開業
着工から約7年 新大阪まで19分、梅田25分
大阪都心部と直結
大阪府箕面市と北大阪急行電鉄(北急)が整備主体となり建設が進められていた北急南北線延伸区間(約2.5㌔)が3月23日に開業した。新駅は、箕面船場阪大前駅、箕面萱野駅の2駅。これにより大阪府北部の箕面市域から、従来の南北線、同線が乗り入れている大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)御堂筋線を介して大阪の都心部までが直結。箕面市のまちのさらなる魅力向上、発展につながることが期待される。(秋元 尚浩記者)
■延伸区間概要
北大阪急行電鉄は阪急電鉄が出資する鉄道会社。南北線の従来の区間は、江坂―千里中央間(5・9㌔)。南側の江坂で大阪メトロ御堂筋線に接続、相互直通運転が実施されている。
南北線の延伸は、2014年3月に大阪府、箕面市、阪急電鉄、北急の関係4者による基本合意書が締結され、17年1月に着工、約7年を経て開業となった。
延長は千里中央―箕面萱野間(約2・5㌔)で、内訳はトンネル区間約1・7㌔、高架橋区間約0・8㌔。レール締結式が昨年11月に開催され、その後、乗務員習熟訓練などが行われていた。総事業費874億円。北急9000形(3編成30両)の増備も実施された。
延伸区間の開業で、同市内の新設2駅から大阪都心部へのダイレクトアクセスが実現。箕面萱野駅から主要駅までの所要時分(最速)は、箕面船場阪大前2分、千里中央4分、新大阪19分、梅田25分、なんば34分、天王寺41分などとなっている。
■新駅舎デザイン
新駅の駅舎デザインに目を転じると、箕面船場阪大前駅は「『繊維のまち』と『新しいまち』 その玄関口となる駅」をコンセプトに、地下ホーム階では繊維をモチーフとしたデザインの天井、壁、地下改札階ではメタルパネルをランダムに配した天井、円形照明の設置などで、モダンで新しいまちの玄関口らしい雰囲気を演出している。
箕面萱野駅のコンセプトは「緑豊かな『箕面の自然』と調和し、新たな出発点となる駅」。ホーム上屋の南側は、明るい光を取り込み、まちのランドマークとなる膜屋根とした。
また両駅とも、より利用しやすい駅づくりの観点から、「オストメイト設備」「おむつ替え用設備」などの機能については、従前の多機能トイレへの集中を改め、それらの機能を備えた個室を分散配置。授乳室は、改札直近の分かりやすい場所に設けた。
このほか、北急では、延伸区間の開業に合わせて、南北線各駅の駅名看板、案内サインのデザインの一新にも取り組んだ。デザインは、同社車両8000形・9000形で使用している色調をベースとし、相互直通運転している大阪メトロ御堂筋線のラインカラー(赤)を取り入れることによって、北急らしさを表現したものとなっている。
まちの一層の魅力向上、発展へ
■周辺のまちづくり
新駅周辺のまちづくりの状況については、箕面船場阪大前駅東側では、これまでに大学図書館機能を持つ市立図書館「船場図書館」、1401席の大ホールがある文化芸能劇場などで構成する複合公共施設、大阪大学箕面キャンパス、駅前広場、歩行者デッキ、駐輪場、駐車場などがオープンしている。今後は、高齢者の健康寿命延伸などを目的に整備する「箕面船場阪大ヘルスケア総合センター(仮称)」のオープンなどを予定する。
箕面萱野駅では、バス乗り場、タクシー乗り場、駐輪場や、バス乗り場に隣接する「箕面市立かやの広場」、3階建ての駅ビル、駅高架下の店舗などを整備した。
このうち箕面市立かやの広場は、千里川の親水空間とまちを結ぶ人工芝生広場。野外ステージもあり、市民の憩いの場としてにぎわいを創出していく。
駅ビル、駅高架下店舗は、東急不動産がそれぞれ「STATION1棟」「STATION2棟」の施設名で、開業日の23日にオープンした。テナント数は飲食、食物販、物販など合わせて31店舗。すぐそばで営業する既存の「みのおキューズモール」6棟と一体運営を行い、駅利用者や地域の人のニーズにこたえていく。
■開業記念式典
市長 万感胸に迫る思い
活力に満ちた沿線を 社長
開業に先立ち3月20日には箕面市立文化芸能劇場で開業記念式典が行われ、上島一彦箕面市長、内芝伸一北大阪急行電鉄社長(当時)、来賓の國場幸之助国土交通副大臣、吉村洋文大阪府知事、嶋田泰夫阪急電鉄社長らが出席。テープカット・くす玉開花で開業を祝った。
冒頭あいさつに立った上島市長は、「市総合計画に北大阪急行の延伸構想が位置付けられてから56年の時を経て開業となる。さまざまな苦難があったが、先人の思いを引き継ぎ、市長としてゴールを実現できることは万感胸に迫る思いだ」と喜びを語った。
内芝社長は「延伸線の建設は、既成市街地内での施工で制約がきわめて多く、また途中コロナ禍に見舞われるなど、厳しい環境下での難しい工事であったが、最後まで安全に工事を進めることができた。公共交通機関として、安全、安心、快適な輸送サービスはもとより、沿線地域におけるまちづくりやにぎわいづくりでの連携強化を一層図り、住みやすく、活力に満ちた沿線地域であり続けることに貢献していきたい」と述べた。
来賓のうち、吉村知事は「大阪の南北軸が延伸されることは、箕面のまちはもちろん、大阪全体にとっての成長につながるものだ」と意義を語った。嶋田社長は「コロナ禍が明け、大阪・関西万博の開催が近づき、今後、人流はさらに活発化することが予想される。そうした中、環境にやさしい鉄道の役割はますます重要になる」などと述べて、引き続き関西の発展に寄与できるよう取り組んでいく考えを示した。
検索キーワード:東急
299件見つかりました。
21〜40件を表示
-
2024.09.13 政府・省庁・鉄道運輸機構 予定・計画・施策
国交省 「完全キャッシュレスバス」実証運行 18事業者29路線を選定
国土交通省は、「完全キャッシュレスバス」の実証運行を行う18事業者29路線を選定した。11月1日以降順次、実証運行を開始する。
-
2024.09.13 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
東急など 東京都武蔵野市のまちづくり アプリ「common」を活用
新たな市民参加の仕組みへ 東急と東京都武蔵野市は今月から、東急が提供するまちづくりプラットフォームアプリ「common」を、同市が進めるまちづくりなどに活用し
-
2024.09.11 その他業種分類 記録・調査・統計
ウイークリー・メモ 24年9月2~8日
◇9月2日(月)=JR四国と東急がJR貨物、JR西日本の協力で来年1~3月に東急の「THE ROYAL EXPRESS」(ロイヤルEXP)を四国で運行すると発
-
2024.09.11 政府・省庁・鉄道運輸機構 予定・計画・施策
東急電鉄 「第5回鉄道お宝市」を開催
東急電鉄は20日から10月4日まで、不要となった鉄道部品や廃材をオンライン入札方式で販売する「第5回鉄道お宝市」を開催する。
-
-
2024.08.30 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
東急など 「ハイキュー!!」とのコラボレーション企画を展開
アニメ10周年記念、渋谷で ホテルやバス、グッズ販売など 東急と東急バス、SHIBUYA109エンタテイメント、東急ホテルズ&リゾーツは9月から、人気アニメ「
-
-
-
2024.08.28 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
東急電鉄 「Q SKIP」乗り放題乗車券を半額に
東急電鉄は、事前決済で提供しているデジタルチケットサービス「Q SKIP」の販売サイトで取り扱う各種乗り放題乗車券について、通常価格の半額とする「東急線ノリホ
-
2024.08.26 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
東急電鉄 長津田車両工場で「東急電車まつり」
東急電鉄は10月20日、長津田車両工場で「東急電車まつり」を開催する。普段は公開されない車両工場でのメンテナンス実演や設備操作体験、車両展示を行う。
-
2024.08.23 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
東急・東急電鉄 カスハラ対応方針を策定
東急と東急電鉄は、従業員が安心して働き続けられる環境の構築に向け、「カスタマーハラスメントに対する方針」を制定した。
-
2024.08.21 JR東日本グループ 予定・計画・施策
ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター「沿線価値観ポートフォリオ」を開発
特徴把握し活性化戦略策定 ジェイアール東日本企画(jeki)駅消費研究センターは、沿線に対するイメージを六つの志向で捉える「沿線価値観ポートフォリオ」を開発し
-
2024.08.20 その他業種分類 コラム・企画類
交通ニュース・アイ 住民自ら路線バスを走らせる 千葉県柏市と横浜市泉区の挑戦から
昨今の路線バスの苦境については、改めて紹介する必要もないでしょう。
-
2024.08.20 その他業種分類 記録・調査・統計
月間日誌 24年7月
【国土交通省関係】 国土交通省が鉄道・軌道における動力車操縦者運転免許の受験資格などについて、受験可能な年齢を18歳以上に引き下げる(1日) 国交省が北陸新幹
-
2024.08.16 民鉄・公営・三セク 営業・事業・車両
東急電鉄 8500系4両編成で復活 多客時やイベント列車として活用
8500系が4両編成で復活!――。東急電鉄は、昨年1月に引退した8500系1編成(10両)を4両編成化した上で、本線走行が可能な動態保存車として復活させる。
-
2024.08.16 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
東急など 太陽光発電所の運転開始 アドバリューと協業
東急と東急パワーサプライ、アドバリュー(東京都中央区)は、東急グループの脱炭素社会実現に向けた再生可能エネルギー確保のため3月に締結した太陽光発電所の開発に関