特集 東急不動産 「渋谷サクラステージ」商業エリア さらなるにぎわいの創出
大規模開発のラストピース
東急不動産が渋谷駅南西部桜丘地区で整備を進めてきた大型複合施設「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」の商業エリアが7月25日、一斉オープンした。昨年11月の竣工(しゅんこう)後、一部店舗が順次開業。今回、最先端のトレンドやカルチャーを展開するテナントが勢ぞろいして、さらなるにぎわいの創出を図る。この夏の目玉スポットとして〝本格始動〟を迎えた同エリアの魅力を紹介する。(卜部 正太記者)
世界惹きつける街
東急グループは、「世界の人々を常に惹(ひ)きつける街」を目指して渋谷駅周辺の大規模再開発を推進。五つの街区で構成される同駅中心地区では、渋谷ヒカリエ(2012年開業)、渋谷ストリーム(18年開業)、渋谷フクラス(19年開業)、渋谷スクランブルスクエア(東棟、同年開業)に続いて「渋谷サクラステージ」を整備して、「100年に一度」といわれる大規模再開発のラストピースがグランドオープンを迎えた。
日本を代表するターミナル駅の一つ、渋谷駅に隣接し、代官山や恵比寿にも近い駅南西部の桜丘エリアで、約2・6㌶の敷地を一体的に整備する再開発事業。交通基盤の拡充、さまざまな機能の導入による拠点性向上と防災機能の強化が整備方針となっている。総事業費約2000億円。
主な開発エリアは、オフィスや店舗を主とするA街区(SHIBUYAサイド)と、住宅や長期滞在のビジネスパーソンなどに向けたサービスアパートメントが入るB街区(SAKURAサイド)で構成。
中心的な建物としてA街区には「SHIBUYAタワー」(39階建て、高さ約179㍍)と「セントラルビル」(17階建て、同約90㍍)を整備。両建物は低層部で一体化しており、地下は4階建て、延べ床面積約18万4700平方㍍。7階以上は主にオフィス、5階以下の低層階に商業施設や駐車場などが入る。
49店舗が出店
今回、地下2階―地上5階フロアに新たに37テナントが出店。店舗は計49テナントになった。近隣の居住者やオフィスワーカーの利便性向上を図るストアのほか、趣味を楽しむ桜丘エリアに根付くカルチャーを守り次世代に継承していく施設などが出そろった。
カルチャー×食、最先端のトレンド展開
サクヨン<4階>
新たなつながり生まれる場
飲食エリアは「商店街」表現
SHIBUYAサイドの4階フロアを「サクヨン」と銘打ち、音楽やアートといったカルチャーとフードが交わることで新たなつながりが生まれる場を目指す。桜丘の新たな商店街を表現したフードホール「FOOD MET(フードメット)」は、三つのエリアで構成。合わせて17店舗が軒を連ねる。
このうち、最大面積を占める「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL」では、エリア内の8店舗を一つのレストランとしてとらえて、桜丘エリアに根付く食を通じたつながりの場として企画。昼はフードコート、夜はレストランとして営業する。モバイルオーダーを導入して、ディナータイム時は席からの注文でホール内全店舗の食事を楽しむことができる。
「ビールづくりは街づくり」をコンセプトにした「SHIBUYA BREWERY」で、現地で醸造されたクラフトビールを提供。飲食店は東急沿線の学芸大学・自由が丘の人気店「スタンドバインミー」が展開する国産生米麺フォーとスパイスカレーの新ブランドなどが並び、ビールに合う料理を多数用意する。
「渋谷 By STREET」エリアには路面店のように店舗が集い、和食シェフの手さばきを眺めながらライブ感を楽しめる酒場、店内にソウルミュージックが流れるカジュアル寿司店、ライブキッチン型鉄板ステーキ専門店など個性豊かな6店舗が軒を連ねる。
全店舗を同じオーナーが運営するのが特徴で、人気の有無などによる店同士の関係性やエリアの雰囲気の悪化を防ぐためだという。リラックスしながら食事とお酒を堪能できるエリアづくりを図る。
このほか、「404 Kitchen」エリアは「チャレンジ」をテーマに、新しい食の可能性を探るラボ要素を取り入れたポップアップレストランが出店する。
ジャンルレスな創作活動拠点
ライブ、カフェ…さまざまな企画
「404 Not Found」ではゲーム、アート、音楽、フードといったさまざまなカルチャー領域で活躍するインディークリエーターの拠点として、展示イベントやワークショップ、音楽ライブ、期間限定レストランなどの多様な企画を開催。
約150平方㍍のフロア内に、幅10㍍以上のLEDモニターが置かれたイベントスペース、物販・カフェスペース、キッチン&レストランスペース、配信スタジオを展開して、ジャンルにとらわれない創作活動を後押しする。
ちなみに、「404 Not Found」の名称は、ウェブサイト上でサーバーを見つけられなかった際のエラーコードに由来しており、「まだ存在しないもの」を表現している。
ジャパンコンテンツを発信
<3階>
カネボウ化粧品のメイクアップブランド「KATE」初のグローバル旗艦店や日本のカワイイ文化を世界に発信する「サンリオ」のショップ、ゲーム実況集団「高田村」の初の試みとなる公式ショップ「高田村交易所」などが出店。渋谷の街で遊ぶ若者を中心に盛況を博している。
<2階>
渋谷の在勤・在住者の利便性を向上させる店舗を中心に構成。スーパーマーケット「東急ストア」や新業態の軽食・スイーツのテイクアウトコーナーを併設した「カルディコーヒーファーム」などが入る。
フロアの一角に構える食品とアパレル雑貨のお店「CHEEAT TOKYO(チートトウキョウ)」は、東急不動産とまちづくり協定を結ぶカルチュア・コンビニエンス・クラブが企画に携わり、全国各地のおいしいものや東京ではここでしか買えない地域のレアな商品、SDGs(持続可能な開発目標)グッズなどを取りそろえる。伝統技術や生産者、職人の思いを体感できる。
駅アクセス、回遊性を向上
「渋谷サクラステージ」が立地する桜丘地区は周りのJR線や国道246号線によって東西、南北方向のいずれも街が分断されており、渋谷の特徴でもある谷地形の高低差が大きいエリアでもあるため、駅と周辺地区をつなぐ歩行者ネットワークが脆弱(ぜいじゃく)だった。
こうした街の分断や地形の高低差を解消して回遊性向上を図るため7月21日、サクラステージへ隣接するJR渋谷駅新駅舎内に移転された新南改札が開業。改札に面する「渋谷駅南口北側自由通路」との接続により、駅から桜丘地区のスムーズなアクセスを図る。
併せて、渋谷駅西口と桜丘地区などを結ぶ新通路「渋谷駅西口地下歩道」が同日に開通。246号線を南北に横断する形で、サクラステージとバスターミナルを挟んだ向かいの複合施設「渋谷フクラス」にそれぞれ地下で直結する。地下と上部を結ぶサクラステージの縦軸動線「アーバンコア」と合わせて、線路や道路に阻まれていた移動の利便性が複層的に向上した。
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