交通新聞社 電子版

墨滴 6月26日付

2024.06.26

 再生可能エネルギー電源の普及が進む中、西日本鉄道と自然電力(福岡市)が共同で取り組む系統用蓄電池事業が注目されている。今月10日に福岡県宇美町で第1号蓄電所が稼働開始し、11月には同県筑豊地区で2カ所目が開設される予定だ▼ご存じの通り、電気事業の基本ルールとして、一つの送配電ネットワーク(系統)の中では発電量と需要量を常に一致させる必要がある。需給バランスが崩れると電気が不安定になり、最悪の場合は大規模停電につながる▼太陽光などの再エネ電源は出力が変動するため、電力需給のバランスをとるための「調整力」が重要となる。そこで蓄電所が余分な電気を充電し、必要に応じて安定的に放電する調整役を担う。まさに蓄電所が発電所と同等の価値を持つことになる▼2021年4月に調整力の取引市場の本格運用が始まったことで収益化が見込まれ、全国的に事業化の動きが表れ始めた。とりわけ再エネ普及が進む九州エリアでは、同事業の社会的意義は非常に高い一方、大きなビジネスチャンスにつながると期待される▼ただ、この事業の難しいところは、系統と蓄電所を接続するポイントが限られる点。両社は西鉄グループ所有のバス駐車場や未利用地を活用し、25年度までに10カ所に拡大する計画だが、条件を満たす場所を選定しながらの地道な取り組みとなる。

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