JR九州 香椎線「GOA2・5自動運転」を開始
JR九州は16日、香椎線西戸崎―宇美間で、運転士以外が前頭乗務する全国初の「GOA2・5自動運転」を開始した。ATS―DKをベースに大きなインフラ投資を伴わずに安全を確保し、ドライバーレスを実現したもので、ATS(自動列車停止装置)区間での自動運転は国内初。将来にわたる労働力人口減少の中で必要な人材確保につながると期待される。
従来の自動運転システムが信頼性に優れるATC(自動列車制御装置)をベースにしているのに対し、同社の自動運転システムは一定の信頼性を持つATS―DKに、保安装置と同等の信頼性とフェールセーフ性を有する高機能ATO(自動列車運転装置)を組み合わせることで、ATCと同等の安全性を担保している。
GOA2・5自動運転は、鉄道総研から技術支援や安全性評価を受けながら、日本信号と共同開発した自動列車運転装置を819系「DENCHA(デンチャ)」に搭載。JR九州が養成した自動運転乗務員や運転士が前頭乗務し、走行中の緊急時に非常停止ボタンを押すなど安全確認や異常時対応に当たる。
当初は香椎線を走る全173本のうち、31本が自動運転乗務員によるGOA2・5で、残りも運転士によるGOA2・0で運行する。同社は今後も自動運転乗務員の養成を進め、GOA2・5の対象列車を順次拡大していく。
17日に香椎駅の駅前広場で出発セレモニーが開かれ、古宮洋二社長、福永嘉之取締役・常務執行役員・鉄道事業本部長・北部九州地域本社長、来賓として村田茂樹国土交通省鉄道局長、吉永隆博同省九州運輸局長、塚本英彦日本信号社長、渡辺郁夫鉄道総研理事長ら約40人が出席した。
初めに古宮社長が関係者への謝意を示した上で、「鉄道を維持するために、社内で設備と資格を軽くする取り組みを進めており、このうち資格を軽くすることの第1弾がGOA2・5だと思う。この技術を他線区にも広げていきながら、未来の鉄道をつくっていきたい」とあいさつ。
村田局長が「GOA2・5自動運転の導入は、人口減少社会における鉄道分野の課題に対応した現場業務の省力化、効率化に資するものであり、多くの鉄道事業者が関心を寄せる中で香椎線から全国的に広がることを期待する」と述べた。
続いて、自動運転乗務員を代表して石橋択斗さんに、福永本部長から運転台の自動運転切り替えスイッチの鍵とピンバッジが贈られ、古宮社長、村田局長、塚本社長、渡辺理事長がテープカットした。
この後、4番線のりばに場所を移して出発式が行われ、関係者が見守る中、宮﨑恵介駅長が定刻の11時39分に出発合図を送ると、石橋さんが乗務する819系が祝福の警笛を鳴らしながら西戸崎に向けて走り出した。
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