運輸安全委員会 東北新幹線列車脱線の調査報告
運輸安全委員会は3月28日、2022年3月の福島県沖地震で東北新幹線「やまびこ223号」が脱線し、乗客6人が負傷した事故に関する鉄道事故調査報告書を公表した。脱線の直接的な原因は▽地震動による軌道面の強い揺れ▽揺れに伴う車体のローリング――と指摘。ローリングにより左右いずれかの車輪が上昇してレールを乗り越えロッキング脱線に至ったとした。さらに、ローリングに伴う空気ばねの過大な変形による空気抜けが脱線を助長したと指摘した。
事故は22年3月16日23時37分ごろ、東北新幹線福島―白石蔵王間で発生。東 京発仙台行き(17両、乗客75人、運転士1人、車 掌4人)が福島駅を約5分遅れで発車、時速約154㌔で走行中に緊急ブレーキが作動し停止した。停止後、運転士は大きな地 震動を感じ、揺れが収まった後に確 認したところ、複数車両が脱線していた。
同日は23時34分に最大震度5弱(マグニチュード6・1)の地震が発生し、早期地震検知システムが作動して列車停止、同36分に最大震度6強(同7・4)の地震が発生、37分前後に脱線地点付近で地震動が観測されていた。
脱線輪軸は17両68軸中60軸で、うち10軸は逸脱防止ガイド、ガイドと同種の役割を果たす排障器取付腕がレールから外れ逸脱していた。報告書では一時逸脱の可能性のある2軸を加え計12軸が逸脱と推定。逸脱については、脱線後に継続した地震動により、逸脱防止ガイドがレールを乗り越えた可能性などを示した。また、排障器取付腕は逸脱防止ガイドと比べレールに掛かる部分が小さく、設置の6軸全軸が脱線、うち3軸が逸脱していた。
報告書では、脱線に直接影響するような軌道面の大きな沈下や構造物境界部の段差などが見られなかったことから、高架橋などの損傷が脱線の直接の因子ではなかったと考えられると指摘。脱線時に列車が停止していたこと、多くの逸脱防止ガイドなどが機能して軌道からの大きな逸脱を防いだことが、被害拡大の防止につながったと推測している。
再発防止策として、事故後にJR北海道とJR東日本は、排障器取付腕のレールに掛かる部分の形状を改良し、台車と車体の間に揺れを抑制する左右動ダンパの導入を検討。国土交通省では新幹線の地震対策の検証委員会を発足させ、一部高架橋柱の補強の前倒しなど耐震補強の当面の方針を含む中間とりまとめを公表している。
報告書では▽脱線・逸脱防止対策のさらなる高機能化の検討▽走行中の逸脱で被害拡大の可能性のある列車先頭部の先頭軸について、逸脱を極力させない有効な対策の実施▽車両や構造物の改良による振動抑制対策の検討、研究、技術開発を進めること――などが望ましいとした。
検索キーワード:JR東日本
3,626件見つかりました。
21〜40件を表示
-
2024.10.17 その他業種分類 コラム・企画類
墨滴 10月17日付
JR東日本グループのルミネが8月末、シンガポール中心部のショッピングセンター「Raffles City Singapore(ラッフルズシティ・シンガポール)」
-
2024.10.17 JR東日本 営業・事業・車両
JR水戸支社 「常磐線特急コーヒー詰合せ」を発売 パッケージに常磐線特急
JR東日本水戸支社は、サザコーヒーホールディングス(茨城県ひたちなか市)との連携で、「常磐線特急コーヒー詰合せ」を発売している。
-
2024.10.17 JR東日本 営業・事業・車両
JR大宮支社 「サフィール踊り子」と新旧踊り子号を並べた秋の早朝撮影会
JR東日本大宮支社は11月9日、東大宮操車場構内で特急「サフィール踊り子」と新旧踊り子号の計4編成を並べた秋の早朝撮影会を開催する。
-
-
2024.10.17 JR東日本グループ 営業・事業・車両
JR東日本商事 「Suicaのペンギン米」を発売
○…JR東日本商事は19日から、Suicaのペンギンと新潟ゆかりの鉄道車両がコラボレーションした新潟県産コシヒカリ「Suicaのペンギン米」を発売する。
-
2024.10.17 政府・省庁・鉄道運輸機構 式典・表彰
「鉄道の日」鉄道関係功労者大臣表彰
【鉄道業務精励関係】 大西晴彦(加森観光テイネ事業部索道部部長)▽木村章平(上越観光開発運営管理部上越国際スキー場スキー場技師長)▽松下裕一(札幌市交通局事業
-
2024.10.17 その他業種分類 記録・調査・統計
月間日誌 24年9月
【国土交通省関係】 国土交通省が日本鉄道賞表彰選考委員会による第23回「日本鉄道賞」の受賞者を発表=日本鉄道大賞はJR西日本の「特急『やくも』~沿線の文化・風
-
2024.10.17 JR東日本 予定・計画・施策
JR東日本 AIがエスカレーター歩行者を検知、注意喚起へ 大宮駅で実証実験
JR東日本は、エスカレーター利用時の事故防止を目的に、大宮駅で実証実験を行う。
-
2024.10.17 JR東日本 営業・事業・車両
JR新潟支社 SL夜間撮影、背面撮影を新設
JR東日本新潟支社は11月26日と27日、「SL C57 180 撮影会」と「SL“アフター5”撮影会」を新潟車両センター新津派出所、新潟統括センター新津乗務
-
2024.10.16 JR東日本グループ 予定・計画・施策
JR東日本クロスステーション みなかみ工場の屋根に太陽光パネル
JR東日本クロスステーション(JR―Cross)ウォータービジネスカンパニーは、二酸化炭素(CO2)排出量削減の一環として、自家消費型の「太陽光発電設備」を飲
-
2024.10.16 JR東日本 人事異動・組織変更
JR東日本秋田支社人事 10月15日付
JR東日本秋田支社(15日付) 東能代統括センター副長(弘前統括センター副長)伊藤悠▽弘前統括センター副長(秋田統括センター主務)齊藤諒介▽出向・JR秋田鉄道