JR東日本 線路設備モニタリング装置にAI・ディープラーニングモデル導入
JR東日本、同社グループの日本線路技術(NSG)と、理化学研究所(埼玉県和光市)は27日、線路設備モニタリング装置にAI(人工知能)のディープラーニングモデル(DLM)を、あす11月1日から導入すると発表した。レール継ぎ目板の損傷など、これまでNSGのスタッフが目視で異常の有無を確認していた業務の一部をAIに置き換えることで、月間で約100時間の作業時間削減効果が期待できる。
線路設備モニタリング装置は営業列車の床下に搭載され、線路のゆがみを測定する軌道変位モニタリング装置と、マクラギやレール締結装置などレール周辺の軌道材料の状態を撮影する軌道材料モニタリング装置で構成する。線路の状態のデータを高頻度で取得し、悪化傾向を高精度であらかじめ把握することで、最適なタイミングでのメンテナンスを行うことができる。現在、JR東日本管内の50線区に導入している。
撮影画像のうち、線路設備の多くを占める、構造が比較的単純な継ぎ目ボルトの脱落やゆるみについては閾値(しきいち)の設定による自動判定を実施中。不良箇所と判定されたものを、NSGのスタッフが目視で確認している。構造が複雑なレール継ぎ目部などの箇所は、スタッフが全て目視で異常の有無を確認している。このため多くの人員を配置する必要があり、不良箇所の抽出にも多くの時間を割く必要がある。
今回、JR東日本と理化学研究所が開発したDLMは、正常な設備と不良のある設備の画像を学習させたAI。撮影画像の中から良否判定の対象となる設備を検出し、設備の種別ごとに判定を行う。従来の自動判定の対象のほか、レール継ぎ目部の周辺部やレールボンドの状態などについても判定が可能となる。
DLMの導入により、レール継ぎ目板(約8万カ所)の損傷の有無や、レールボンド(約6万7000カ所)の脱落状況の確認など、現在は目視で行っている業務の一部をAIに置き換えて管理を行う。これにより、さまざまな線路設備の不良箇所を自動で抽出することが可能に。スタッフは抽出された不良箇所のみ目視で確認を行うため、作業時間は大幅に削減されることになる。
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