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JR東日本 羽田空港アクセス線(仮称) 高輪築堤を一部現地保存へ 第5橋梁橋台など記録保存

2024.04.17
㊤試掘調査で高輪築堤の石積みの一部が確認された田町駅付近(同駅ホームから東京方を望む)㊦試掘調査箇所を上面から見た様子。石積みの一部が見える=JR東日本提供=

 田町駅周辺 線路縦断線形の計画変更 31年度開業に変更なし

 JR東日本は15日、同社が整備を進める「羽田空港アクセス線(仮称)」で、田町駅周辺の試掘調査で発見された石積みが高輪築堤の一部と確認され、東海道線の線路下にあるとみられる同築堤の延長約100㍍を現地保存すると発表した。このほか、工事に支障する同駅付近の同築堤と薩摩台場の遺構の範囲(延長約290㍍)は記録保存とする。アクセス線の開業時期は2031年度から変更はない。

 田町駅周辺で22年7月から昨年6月にかけて行われた工事着手前の試掘調査で、東京方の東海道線の線路内4カ所で高輪築堤とみられる石積みの一部が見つかった。調査や高輪築堤調査・保存等検討委員会での検討の結果、同築堤と確認された。

 これを受け、同社はアクセス線の線路縦断線形の計画変更を実施する。下り勾配の開始地点を、当初の計画より品川方へ約100㍍の雑魚場架道橋付近へ変更。これにより、同築堤への支障範囲の延長は約160㍍から約60㍍となり、東京方の約100㍍については同築堤の一部を現状のまま保存する。

 また、文献調査と現地調査の結果、同架道橋の橋台には鉄道開業時に新橋駅から5番目の橋りょうだった「第5橋梁」の橋台が残っている可能性があることが判明。さらに、田町駅を含む約230㍍の範囲は、江戸時代後期に薩摩藩蔵屋敷の東側に構築された砲台「薩摩台場」の上に位置している可能性が明らかになった。

 調査結果を踏まえ、今年3月の同委員会で、アクセス線に支障する同築堤、同橋梁の橋台、同台場の各遺構については記録保存とする方針が示された。今後、工事を進めながら、東京都港区教育委員会との連携で考古学、鉄道史、土木史など諸分野の知見に基づき、慎重かつ丁寧に記録保存調査を進めていく。

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