三陸鉄道 3期ぶり最終黒字に 人流活発、「観光線区」持ち直す
岩手県の第三セクター鉄道・三陸鉄道が6月20日に発表した2024年3月期決算によると、当期純利益は約2600万円で、3期ぶりの最終黒字となったことが分かった。昨年5月の新型コロナウイルスの5類移行に伴う人流活発化、訪日外国人客の利用に伴う観光線区として持ち直したことが要因。
旅客流動の回復によって、鉄道事業収入は約3億8600万円で前期比8・6%増加したが、修繕費などがかさんだことで経常赤字は約6億6700万円で30年連続、過去2番目の水準となった。
最終黒字は、県や沿線自治体からの運行支援交付金など約15億5440万円の特別利益が支えた。
石川義晃社長は決算発表も兼ねた同日の株主総会後の記者会見で、24年度の展望について「収入を増やすことが大事だ。インバウンド(訪日客)など良いチャンスを捉えていく」などとコメントした。
[[昔〝三セクの優等生〟今年開業40周年に]] 三陸鉄道は、旧国鉄宮古線(宮古―田老間)と久慈線(久慈―普代間)が移管され、田老―普代間を新設。南リアス線も旧国鉄盛線(盛―吉浜間)が移管され、吉浜―釜石間を新設して、1984年4月に南リアス線(盛―釜石間、36・6㌔)と北リアス線(宮古―久慈間、71・0㌔)として開業した。当時は全国でも珍しい第三セクター方式による鉄道で、開業からしばらくは〝三セクの優等生〟ともいわれるぐらいの比較的順調な経営状況だった。
しかし、1990年代初めのバブル経済崩壊、少子化・高齢化の進展、過疎化、さらには2011年3月の東日本大震災による沿線各所での甚大な被害を受け経営危機に直面。14年に全線運転を再開し、この間、NHK朝の連続ドラマ(あまちゃん)の舞台として全国にも知られるようになり、リアス式海岸を走る三陸鉄道に注目が集まった。
同社では、東日本大震災で同様に被災したJR山田線宮古―釜石間のJR東日本からの移管を受けて、2019年3月から盛―釜石―宮古―久慈間(163㌔)を結ぶ「リアス線」を運営する鉄道事業者として再スタートしている。「笑顔をつなぐ、ずっと…。」をキャッチコピーに季節ごとの観光列車を設定するなど、さまざまな集客施策に取り組んでいる。
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