特集 JR東日本グループ 「JR青森駅東口ビル」開業
JR東日本盛岡支社と青森市、青森県、青森商工会議所の4者は4月26日、青森駅東口旧駅舎跡地を活用した新駅ビル「JR青森駅東口ビル」を開業した。JR東日本青森商業開発運営の商業施設「&LOVINA(アンドラビナ)」をはじめ、青森市の「青森市民美術展示館」、青森県の情報発信拠点施設「あおもり縄文ステーション じょもじょも(JOMOJOMO)」が同日オープン。青森駅を中心としたまちづくりの結実により、新たなにぎわい創出が期待される。(福原 潤記者)
JR青森駅東口ビル
全面オープン7月 11日にホテル開業
JR青森駅東口ビルは、鉄骨造り10階建て、建築面積約3200平方㍍、延べ床面積約1万7800平方㍍。1~3階が商業施設「&LOVINA」で、隣接する既存駅ビル「LOVINA」と各階で接続している。4階が同美術展示館と縄文ステーションで、4~10階がホテル。7月11日にウエルネスをテーマにした新ホテル「ReLabo」(慈恵会、城ケ倉観光運営)が加わり、全体開業を迎える。
新駅ビルの外観は中心市街地の新町通側から見た、いわば駅の顔。青森らしさを込めた外観に仕上げている。日本特有の針葉樹高木で青森県の木「青森ヒバ」を使用したパネルを設置し、そこの複数箇所を穿孔(せんこう)し、内側から光を当てることで光が漏れるような構造を採用。これは、ねぶた祭りにおける代表的な技巧とされる、和紙を通して、光があふれ出るような手法を参考にしているという。
新駅ビル開業に先立ち、3月30日からは24時間通行可能な同ビル内自由通路(幅員約10㍍、延長約30㍍)の使用を開始。新駅ビルに直結する快適な空間を介して、東口から同駅へのアクセスや東口から西口への通り抜けがよりスムーズになっており、回遊性が向上している。
全21店展開 「&LOVINA」
新たなにぎわい創出に期待
商業施設、市の美術展示館、県の情報発信拠点、ホテルが入居
全21ショップを展開する「&LOVINA」には、飲食やスイーツ、ファッション、雑貨、コスメなどバラエティーに富んだ店舗をラインアップ。青森市内初出店となるレストラン「サイゼリヤ」をはじめ、2020年4月で営業を終了した旧青森国際ホテルに入居し、地元で親しまれていた老舗の中国レストラン「吉慶(きっちゅん)」が移転開業。そのほか東北初出店のアウトドア用品「好日山荘」、アクセサリー・雑貨「MUK MUSE BLANCHE」などが並ぶ。3階には、同駅ビルにほど近い青森ベイブリッジをはじめとするベイエリアを眺望できる「そらうみテラス」を設置。空と海が広がり、潮風を感じられる、開放的な空間となっている。
「あおもり縄文ステーション じょもじょも」は一般公募4218作品の中から、一般投票、同県教育委員会が委嘱する選定委員による選定などを経て選ばれた愛称。青森の縄文遺跡群に関する情報を一体的に発信する施設として、同県内に所在する8つの縄文遺跡の価値や魅力、アクセス情報などを発信。縄文遺跡群のさらなる普及啓発と来訪、周遊促進を図っている。
オープン当日は新駅ビルに隣接し、同ビルを間近に見ることのできる「青森駅前公園」では、オープン前に開業セレモニーが行われ、久保公人JR東日本執行役員・盛岡支社長・同支社鉄道事業部長、宮下宗一郎青森県知事、西秀記青森市長、倉橋純造青森商工会議所会頭らが出席。久保支社長は「中心市街地のさらなるにぎわいの創出だけではなく、さまざまな人が集まり、そして青森にお住まいの方や遠方からお越しの方にも、新しい青森を感じていただけるような施設をめざしていく」、西市長は「JR、青森県、青森商工会議所、青森市の4者連携という形で、青森駅を中心としたまちづくりをしっかりとやってきた。そして今回、駅ビルが完成したことで、この4者の協力体制がしっかりと完成した」、宮下知事も「青森県、青森市の交通結節点として機能しているこの青森駅の新しい拠点がひらく、青森県、青森市の未来に私は大いに期待している」とそれぞれ話した。
11時の開業前には市民ら約1300人が列をなし、開業を今か今かと待ちわびていた。開業と同時に多くの利用者でにぎわいを見せ、思い思いの時を過ごしていた。
■インタビユー
JR東日本青森商業開発 紺野洋紀社長
「&」に込めた思い
地域と共に活性化
――JR東日本青森商業開発の概要・強みを教えてください。
紺野 当社は、青森エリアを活性化させる地域エリアマネジメント会社として2010年に設立されました。青森駅ビル「ラビナ」、複合商業施設「A-FACTORY」、新青森駅「あおもり旬味館」、弘前駅ビル「アプリーズ」などの商業施設を運営しています。ショッピングセンター(SC)の運営とともに、小売りや飲食・シードル醸造といった加工業を直営事業として手掛けております。業種にはこだわらない柔軟性とスピード感が当社の強みであると考えています。青森エリアの地域に根差した事業展開を追求し、地産商品や観光資源の発掘や開発を通して、青森エリアの活性化を進めています。
――JR青森駅東口ビルにおける貴社の役割とは。
紺野 当社は地域のエリアマネジメント会社として、駅ビルの運営だけではなく、より地域と連携して中心市街地を盛り上げることがミッションです。
今回の新しい駅ビルは、2018年6月に締結された「青森駅周辺のまちづくりに関する連携協定」(JR東日本、青森市、青森県、青森商工会議所)に基づく駅ビル開発です。既存の駅ビルの利用者の年代層は40代、50代のお客さまが中心でした。できればその幅を広げたいと考え、既存の駅ビルでは不足していた飲食テナントを増やすなど、『ハレの日』から普段使いまで、ご家族皆さんでお越しいただけるようなSCにしています。
&LOVINAの名称の〝&〟は、「地域と共に」という思いを込めています。箱物だけではなくソフト面においても、地域と連携して「新しい地方都市」のモデルがつくれるよう、周辺の商店街や他商業施設と連携して中心市街地を盛り上げ、駅を中心としたまちづくりに寄与していきたいと考えています。
(F)
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