JR東日本 「BtoBプラットフォーム 請求書」導入 グループ外請求書を電子化 単純作業削減など多くのメリット
JR東日本が昨年8月、同社グループ外の取引先を対象に導入した、「インフォマート」(東京都港区)提供の請求書発行・受け取り用クラウドサービス「BtoBプラットフォーム 請求書」が大きな成果を上げている。発行では、毎日約200通の封入・投函(とうかん)などの作業をほぼカット。受け取りに関しても月に約400通を電子データで受領することで、経理システムとのダイレクトな連携が可能となったほか、紛失などのリスクも回避している。JR東日本グループの会計業務などを担い、同サービスの運用に当たるJR東日本マネジメントサービス(JEMS)の担当者は「さらに電子化率を高めるため、JR東日本の社員により広く使ってもらって定着させたい」と意気込む。
BtoBは、請求書の発行・受け取りや支払金額の通知など多様な請求業務のデジタル化に応え、ペーパーレス化や経理のテレワークをサポートするサービス。
JR東日本は2022年4月、グループ会社の経理基幹システム「企業経理システム」を更新。同じタイミングで、約40社が一部の請求書の発行・受け取り業務についてBtoBを導入し、同システムと連携させることで請求書関連業務の電子化を果たしていた。
グループ内の実績ふまえる
この実績を踏まえて昨年8月、JR東日本本体の経理基幹システムである「経理・資材システム(NASBI)」や、「立案会計ワークフローシステム」と連携させたBtoBを導入。対象は、それまで紙ベースでのやり取りが多かったグループ外の取引先だ。
請求書の発行時は、NASBIからBtoB経由で電子請求書を発行することで、取引先企業もウェブ上で内容を確認できる。一方、BtoBに届いた土地の賃料や建設費用などさまざまな取引の電子請求書は、自動的に立案会計ワークフローシステムの立案とひも付けた上で本社の社員が内容を確認。間違いがなければ同システムとNASBIで処理される。
導入効果は大きい。発行面では、紙の請求書の封入・投函作業のほとんどがカットされた。請求書の再発行が必要になった場合も、従来は複雑な作業が必要だったが、BtoBへデータを再送信することで瞬時に再発行できるようになった。
ペーパーレスの土台が完了
受け取りでも、BtoBを経由すれば紙で届いた請求書の仕分けやデータ化の作業が不要となる。「ペーパーレスの土台が完了した」と、JEMS・DX戦略推進部の中島智樹さん。同部の瀧川英彦グループ長は「毎日2~3時間を割いていた封入などの単純作業から解放され、人ならではの判断や創造を伴う業務に注力できる」と効果の大きさを説く。
また、「紙の請求書を希望する取引先には、郵送代行してくれるオプションがある。請求書の標準化であるデジタルインボイスの将来的な普及に対応しているのも魅力」(中島さん)という。
現業機関にも導入され、現場社員が担う企画業務のさまざまな取引の処理に効果が出始めている。また、グループ外の取引先の電子化を果たしたことで、JR東日本社員の間で電子化やデジタル化に対する意識が高まった。
瀧川グループ長は「今後さらに電子化率を高めていく必要がある。BtoBをどんどん使うよう訴求し、定着を図るのが私たちの役割」と話す。
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