JR東日本の外債発行による資金調達施策 「放送大学」教材に
一橋大学・篠沢教授 JR東日本・櫻井氏インタビュー
JR東日本の外貨建て社債の発行による資金調達施策が、通信制大学「放送大学」の「企業経営の国際展開(’25)」講座の具体的事例の一つとして教材に取り上げられることになった。今月5日、講師の篠沢義勝一橋大学大学院経営管理研究科教授が、同社グループ経営戦略本部財務・投資計画部門連結CF・投資計画ユニット(資金調達・海外サポート)の櫻井友昭副長にインタビューを実施。来年4月開講のラジオ放送(BS531ch)で放送される予定だ。
篠沢教授は同講座の第13回「国際経営と資金調達」を担当。JR東日本の海外からの積極的な資金調達施策が教材として示唆に富んでいると感じ、インタビューが実現した。
同社は、外貨建て社債を1995年から2007年にかけて順次発行。その後は発行していなかったが、コロナ禍の長期化で鉄道利用者が大きく減少したこともあり、21年にユーロ建て・ポンド建て社債を14年ぶりに発行して以降、欧州市場で毎年調達している。
インタビューで櫻井副長は、外貨建て社債の長所を「国内債より投資家層が厚く市場規模もはるかに大きいため、1回の発行で多額の資金調達が可能」と説明。「市場環境が変動する中で資金調達の多様化は有効な手段」とも述べた。
一方、国内債に比べて困難な点として、海外で知名度を高めるため投資家への広報活動であるIRが欠かせないことや、外債発行に伴う英文契約書の作成に多大な労力を要していることなどを挙げた。
また、外債の発行が国内市況悪化時のバックアップ機能となっているほか、担当者が世界経済に関心を持ち、情報収集が習慣化された。環境問題に対する同社の積極姿勢が海外へ発信されるなど、企業イメージにも良い影響を与えているという。
櫻井副長は「資金調達力の強化だけではなく、当社の国際的な評価を向上させてより幅広い投資家からの支持獲得につながっている」と分析。外債発行が同社の成長と国際化を促す重要な戦略であると位置付けた。
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