JR東日本 上越新幹線 トロリー線張り替え工事を報道公開
少人数でより効率的に 大型機械で架線張り替え
JR東日本は11日深夜から12日未明にかけて、群馬県高崎市の上越新幹線高架橋上で、架線延線車など大型機械の保守用車を使った架線(トロリー線)張り替え工事を報道公開した。同新幹線では来年春に、夜間工事の作業時間を拡大するため、下り終電時刻を20分程度繰り上げる。工事量が増加する一方、作業員の確保が厳しさを増しているため、大型機械の導入などを進め、少人数でより効率的な施工を実現し、安全で安定した新幹線運行を図っていく。
同社では、開業から40年以上が経過した東北、上越新幹線で各設備のリニューアル工事を実施している。今後10年間でレール交換約400㌔、架線交換約800㌔をはじめ、工事は大きく増加することが見込まれている。
一方、生産年齢人口の減少により、工事の担い手確保は年々厳しさを増しており、管内の軌道工事従事員は10年前に比べて約20%減少。今後も減少する見込みであるほか、「働き方改革関連法」が2024年度から建設業に適用されることから、労働環境の改善を含めた鉄道工事の働き方改革を推進していく必要がある。
また、昨年3月と21年2月に発生した福島県沖地震の被害を踏まえ、高架橋柱や電柱に対する従来の耐震補強計画の優先順位を見直すとともに、計画を拡大。レール転倒やトンネル剝落隆起、電柱傾斜を防止するための対策工事を進めている。
同社では通常のメンテナンスに加え、リニューアル工事や震災を教訓とした地震対策工事を着実に推進するため、少人数で工事ができる大型機械の導入を進めており、最近10年で大型機械の保有台数は25%増加。今後もさらに増やしていく計画だ。
この日は計約20人が作業に当たった。終電後の深夜に、高崎南部新幹線保守基地から「ストレッチワゴン」2台と「タワーワゴン」2台の計4台の架線延線車が出発。作業を実施する下り線に入り、約8㌔離れた作業現場の「阿久津南斜路」付近に向かった。
現地到着後、短い作業時間の中で、既設のトロリー線に並行して新しいトロリー線を設置。通常の約2倍の張力を加えて新設した線の伸びを取り、新しいトロリー線に切り替えた。古いトロリー線は架線延線車により巻き取られた。その後、架線の測定と架線金具「ハンガ」の取り外し、空中に忘れ物がないかなどの点検を行い、確認車が走行して線路上の状態を確認した。
現地で取材に応じた山下真実新幹線統括本部上信越新幹線電力技術センター所長は「生産年齢人口の減少により、工事の担い手確保が非常に厳しく、大型機械を使った工事を増やしていく必要があり、工事方法を転換しているところだ。働き方改革を行いながら、増加している工事を実施していくためには、終電の繰り上げによって作業間合いを確保することが必要不可欠となる」と述べた。
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