JR東日本 持続的成長と中長期的な企業価値向上へ 資本コスト、株価意識した経営の実現
株主資本コスト上回るROEの早急な実現など
JR東日本は21日開催の取締役会で、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について、現状を分析・評価した上で改善を目指す今後の取り組み方針を策定した。方針を開示することで、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指す。
東京証券取引所が昨年3月、プライム市場とスタンダード市場の全上場会社を対象に、資本コストや株価を意識した経営実現に向けた各社の対応の開示を要請したもの。自社の資本コストや資本収益性の的確な把握などの「現状分析」、改善に向けた方針や投資者への分かりやすい開示などの「計画策定・開示」、計画に基づいた「取り組みの実行」を継続的に実施し、進展状況に関する分析と開示のアップデートを年に1回以上行うよう求めている。
JR東日本が策定した方針では、資本コストと資本収益性に対する現状認識として、株主資本コストは5~6%程度と認識。コロナ禍でROE(自己資本利益率)は著しく低下したが、同コストを上回るROEの早急な実現と、同コストを継続的に上回るようROEの一層の向上を目指す。
市場からの評価に対する現状認識は、PBR(株価純資産倍率)は減少傾向にあり、今後は1倍を超えて継続的に高める。また、収益率の改善と成長期待の向上の両輪でPBRの向上を図る必要があるとしている。
また、事業用固定資産の割合が極めて高く、売却が容易ではない鉄道事業用固定資産を多く抱える事業特性を踏まえ、ROA(総資産利益率)の向上を通じてROEとPBRの向上につなげる。ROAの2027年度目標は4・0%としている。
具体的な取り組みとして、収益性の向上と資産の効率化に向けては、人的資本の有効活用と中長期での連結生産性の向上によるキャッシュフローの最大化や、可能なら運賃改定の認可申請による適正な価格転嫁、回転・マネジメントビジネスの拡大、ROAを鉄道事業に関連する収入や費用などの数値目標に細分化して各本部・支社、現場の目標とリンクさせることによる資産の有効活用などを推進。株式の政策保有については、自社の企業価値向上に資するものを対象に行うものの全体の規模感の継続的な縮減を行う。
最適な資本構成の観点では、不動産・ホテル事業は有利子負債を積極的に活用、モビリティー事業は「ネット有利子負債/EBITDA倍率」を重視し、事業特性を踏まえた有利子負債水準の在り方を明確化。株主資本コストの低下では、株主・投資家とマネジメント層との対話の積極的な実施など資本市場との丁寧な対話を重視。期待成長率の向上に関しては、各セグメントの中長期的目標と、目標達成に向けたビジネスごとの戦略の発信強化などを進める。
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