JR東日本パーソネルサービス・江島由高氏 デフサッカーW杯で準優勝 銀メダルから得た成長と自信
デフリンピックは金 大きな目標へ飛躍誓う
目標のベスト8突破をはるかに上回る準優勝達成――。9月にマレーシア・クアラルンプールで開催された「第4回ろう者サッカー世界選手権大会」(デフサッカーW杯)に、JR東日本パーソネルサービス(JEPS)東京事務センターの江島由高社員(38)が日本代表DFとして出場し、チームは見事に初の準優勝の快挙を成し遂げた。「世界大会で初のメダルを獲得できてうれしい」。戦いを終え、メダルの重みと、日本のデフサッカーの歴史に名を刻んだ手応えを感じている。
大会前の現地入り後、練習やミーティングを通してチームとしての戦術を固めた。「予選リーグは第1試合のカメルーンを8―0で下したことが大きい」
第2試合のイラン戦は前半終了間際に1点を取られた後、「試合終了まで露骨な時間稼ぎが続いた」と感じて苦しんだ。「相手は国を背負って戦っている感じ。日本でこのハングリー精神はなかなか感じられない」。0―1で敗れたが、国際大会だからこそ学びを得る機会ともなった。
大会で心掛けていた「組織的な試合展開」は、全員が連動した守備と、全員がボールに関わる組み立てでサイドからの攻めにつなげた攻撃として実現。「日本が一番組織的だった」と振り返る。予選リーグは1勝2敗で3位通過を果たし、決勝トーナメントに駒を進めた。
最も内容の良かった試合に挙げるのが、決勝トーナメント初戦の強豪・トルコ戦だ。「フィジカルは他のどの国よりも強かったが、競り合いに恐れずに立ち向かったことや、狙っていたカウンターから得点できたことなどで勝利できた」と分析する。試合を重ねるにつれてチームの調子も上がった。
実は、準優勝という結果に悔しさも感じている。決勝戦のウクライナ戦は、得点の決定機を逃したこととミスによる失点から1―2に終わった。「日本は男子サッカーのどのカテゴリーもW杯で優勝したことがない。最初の優勝チームになるチャンスを目前で逃がした」
悔しい気持ちをばねに、次の目標は選手生活のゴールと位置付ける2025年東京開催の「第25回夏季デフリンピック競技大会」に据えている。「メンバーの誰もが『デフリンピックで金メダルを』と口をそろえている。W杯でメダルを取ったからこそ言える目標だ」。銀メダルがもたらしてくれたチームの成長と自信を確かめながら、さらに大きな目標へ飛躍を誓う。
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