JR東日本 日本郵政、日本郵便と「社会課題の解決に向けた連携強化」に関する協定締結
共創、地域産業振興など柱に
JR東日本と日本郵政、日本郵便は21日、「社会課題の解決に向けた連携強化」を目的とした協定を締結した。「郵便局・駅の地域コミュニティ拠点化」「持続可能な物流の実現」「アセット活用による共創型まちづくり」「地域産業振興と新たな地域事業創造」「デジタル化による地域の暮らし支援」を特に連携強化する〝5本柱〟と位置付け、強力に推進。両社グループの協業により、日本の社会課題解決を図っていく。
JR東日本と日本郵便は2018年6月に、地域・社会の活性化に関する協定を締結。これまでに内房線江見駅、仙山線作並駅での駅と郵便局の窓口業務の一体運営や、JR東日本の個室ブース型シェアオフィス「STATION BOOTH」の日本郵便関連施設への開設などを実施している。
今回の協定の5本柱のうち、郵便局・駅の地域コミュニティ拠点化では、郵便局・駅の一体運営を今年夏ごろに内房線安房勝山駅、25年春ごろに宇都宮線(東北線)蒲須坂駅、同年夏ごろに外房線鵜原駅で開始。今後は、両社グループ商材の取り扱いや地域住民が集えるラウンジ、行政窓口機能の導入など、地域ニーズに応じた機能の付加を検討する。
持続可能な物流の実現では、JR東日本が設置を進める多機能ロッカー「マルチエキューブ」で、24年度中をめどに「ゆうパック」の受け取りサービスを導入。物流の「2024年問題」を見据え、再配達負荷の低減などを図る。両社グループのネットワークを組み合わせた「物流のリ・デザイン」に関する検討を行い、リレー輸送、貨客混載といった新しい物流の実現を目指す。
アセット活用による共創型まちづくりでは、今月29日にJR秋葉原―御徒町間高架下の商業施設「SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE」(運営・ジェイアール東日本都市開発)に、日本郵政グループの「みらいの郵便局」プロジェクトによる新店舗「SOZO BOX(ソウゾウボックス)」を開業。ギフトを選び、ラッピングし、投函(とうかん)する体験を提供する。両社グループが大口地権者の横浜駅東口ステーションオアシス地区開発については、周辺関係者と協調しながら進める。
地域産業振興と新たな地域事業創造では、今夏ごろに東京中央郵便局と「のもの東京駅グランスタ丸の内店」で山形県の特産品コーナーを展開するなど、郵便局やエキナカなどで地域の魅力的な商材を取り扱うコーナーや催事を展開。空き家などの古民家再生を起点とした宿泊事業なども検討する。
デジタル化による地域の暮らし支援では、双方の強みであるリアルな顧客接点を生かし、駅でのオンライン診療サービスでの処方薬の集荷・配送などの分野で協力。さらに、ゆうちょ銀行とモバイルSuicaの連携などによるキャッシュレスサービス提供を検討する。
同日は東京都内のホテルで共同会見が行われ、深澤祐二JR東日本社長と増田寬也日本郵政社長が登壇。
深澤社長は「日本郵政グループとの協業を通じ、これまで以上にさまざまな社会課題解決にチャレンジすることによって、日本社会を支えていく存在になりたい」、増田社長は「両社の知恵を出し合い、アセットを活用する。グループ全体で取り組むことで成果が出るのでは」と述べた。
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