墨滴 6月5日付
茨城県の観光誘客の鍵を握る「キラーコンテンツ」は地酒――。昨年10~12月にJRグループ旅客6社などが開催した「茨城デスティネーションキャンペーン」(茨城DC)を振り返り、このような可能性が見えてきた▼財務省関東財務局水戸財務事務所が4月にまとめた経済調査レポートの指摘だ。同県の清酒(日本酒)の製造業者数は41と関東地方で最多ながら小規模経営が中心。茨城DCでは、JR東日本水戸支社が水戸線や水郡線で「日本酒列車」を運行した▼車内では多彩な地酒や食の提供はもちろん、蔵元や沿線自治体の関係者と交流する機会や抽選会などの企画も。こうした仕掛けで会話が生まれ、参加者同士で意気投合する場面も見られた▼水戸市内で先日開かれた関係機関による茨城DCの合同報告会で、同県観光戦略課の担当者は「観光消費額の低さが本県の課題。宿泊を促すため、お酒は非常に良い観点」と述べた。ただ、小規模の蔵元が多いため酒蔵見学の受け入れ拡大は難しい。同レポートでは、地酒ファンに醸造エリアへ来てもらい、食や歴史、自然に触れて地域のファンになってもらう「茨城版酒蔵ツーリズム」の展開を提唱する▼約4割の蔵元が「業況の改善をやや実感した」と答えるなど、茨城の地酒業界へのDC効果は確か。今年10~12月の「茨城アフターDC」でも、地酒が心強い味方になってくれそうだ。
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