日本鉄道施設協会 「2023年度(第38回)総合技術講演会」 保線部門・最優秀賞
最優秀賞【保線】
軌道検測車データを用いた新たな線形復元手法の検討
JR東日本新幹線統括本部大宮新幹線保線技術センター
篠原良、 吉田美紀
線路保守管理は、現場検測が容易な弦波形が活用されてきた。しかし、実際の線路波形(絶対線形)とは一致しないため、線形整備を計画する場合には測量もしくは弦波形から復元波形を算出する必要がある。AMBERG社のIMS3000の導入で、測量と同等の測定をトロリー形式で高い精度で実施可能となったが、データ取得の労力、タイムリーにデータ取得できないなどの課題があった。
一方で、復元波形は約10日に1回の頻度で走行する新幹線電気軌道総合試験車(East―i)のデータを活用すればデータ取得労力が不要、かつタイムリーに動的変位が取得できるが、測量と比較すると絶対線形を十分に表現することができない。East―iのデータからIMS3000のような高精度の線形データが復元できれば軌道整備計画の効率化、精度向上が見込める。
現状把握を行った上で、長波長高低を活用した絶対線形復元、復元線形の再現性を確認したところ、復元線形は再現性を十分有していることを確認した。また、East―iデータから机上で算出 可能であり、East―i走行ごとに管理エリア全線の線形確認ができた。復元線形を用いて当保線技術センター管内全線の線形を確認した結果、縦曲線部で諸元から乖離(かいり)している箇所があったため、整備箇所として施工を行い解消した。
この手法は当社の新幹線保線現場に業務フロー、作業マニュアル、エクセルで行う線形算出をマクロで自動化したものを水平展開している。
■吉田美紀(吉=土口)
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