特集 JR東日本 新支社長インタビュー 石井剛史 執行役員・大宮支社長・大宮支社鉄道事業部長
各地の特色生かす 移動ニーズを発掘へ
電気部門で電気設備の管理に長らく携わってきた。印象深いのはJR東日本研究開発センターテクニカルセンターでの約2年。列車の高速化に必要な架線の性能のシミュレーションなど、電気設備の信頼性向上や強化、仕事の省力化をテーマに研究開発に取り組んだ。将来に向けた課題のブレークスルーをダイレクトに感じたといい、機械の得意分野は機械に、人でなければできないようなところは人に任せる「機械と人の『ベストミックス』がこれからの大きなテーマになる」。
大宮支社は、5方面の新幹線路線網の拠点を担う首都圏北エリアの要。安全・安定輸送は地道な積み重ねによって維持される。ハード面はリスクを低減する設備の強化やメンテナンスの技術革新、ソフト面は人材育成プログラム、DX(デジタルトランスフォーメ―ション)推進に力を入れる。安全を事業の土台とし、収益力向上を図りながら人と組織を成長させていく。
各職場を回って社員と接し、「仕事を丁寧に確実にという意識が高く、変化をチャンスに変える力強さを感じた」。浦和エリアで働く社員が発案した催事「えきパン」は好評で、首都圏他箇所でも水平展開された。「今後も駅のイベントで地域を知ってもらい、移動のニーズを掘り起こしたい」
埼玉県は「鉄道のまち大宮」が象徴するように日々の暮らしと鉄道が密接に結びつき、栃木県は日光・那須塩原の観光需要が高い。埼京線は子育て世代が多く、浦和は行政都市と商業を兼ね備え、小山は北関東の結節点であるなど、「エリアごとの特色に合わせ、鉄道がどのような役に立てるのか」と頭を巡らす。
再開発事業が進む大宮駅周辺、「ライトライン」開業から1周年を迎えた宇都宮駅周辺では、自治体と連携して駅の利便性強化や情報発信に努め、駅からまちを元気にしていく。栃木県那須塩原市、那須町を対象エリアにした地域・観光型MaaS(マース)「NASU―Ways」は、電子チケットや観光情報を追加してパワーアップを図る。
新潟支社時代、信濃川下流や「新潟島」を一周する気持ち良さに目覚めてから、週末にジョギングを楽しむ。10~20㌔、月100㌔を目安に走るといい、来春には埼玉県内のマラソン大会出場を計画しているとか。
好きな言葉は「初心忘るべからず」。いつまでも若々しくありたいと、謙虚に真剣な気持ちを忘れないように心掛ける。(相川 夏子記者)
◇石井 剛史(いしい・たけし)氏略歴 1993年4月JR東日本入社。横浜支社設備部電力課長、新潟支社設備部担当部長、高崎支社総務部長、電 気ネットワーク部門電力ユニットリーダーなどを経て今年6月から現職。神奈川県出身。53歳。
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