特集 JR東日本 新本部長・支社長インタビュー 下大薗浩 執行役員・長野支社長・長野支社鉄道事業部長
社員の化学反応に期待
他者と接し、心ひとつに
初任地の長野県の印象を「カラフル」と表現する。山々はもちろん、多様な文化や産業で個性を持つ街、四季折々の自然など、多彩な色が織りなす土地。支社の長野、松本、小海線の各統括センターも個性や文化が豊かで、地元愛とさまざまな得意分野を持つ社員たちが集う。やはり「カラフルだと思う」。
社員に「住みたい、訪れたい、仕事をしたい長野にしよう」と語り掛ける。モビリティーと生活ソリューションのサービスを融合し、利用者の誰もが便利で心豊かになるサービスの提供を目指す。利用者に愛されれば会社の存在感は高まり、持続可能な会社づくりにもつながっていく。
建設工事部門が長く「社員同士の協力の大切さが身にしみ付いている」。2007年の中央線高架化工事では、地平の線路を高架の新線に切り替えるため、列車を丸2日間止める必要が生じた。しかし、鉄道の輸送力をバスで代替しようにも台数が足りない。輸送部門などと検討するうち施工区間を時間帯によって複数に分け、順に工事を行えば単線運転を行うことが可能で、輸送力不足をクリアできることが判明した。「さまざまな系統の人が意見を戦わせることで、できないと思っていたことができることを実体験した」と振り返る。
この教訓から、社員に向け「目標に向けて意識が一つになればいろいろな立場の人が接し、連携することで化学反応が起き、新しいものが生まれることがある。ぜひチャレンジを」と呼び掛ける。
一方、「社員が楽しく仕事をすることが大切。周囲から『JRは楽しそうなことをやっている』と思われれば本物」と説く。そうした社風は、人手不足が深刻な社会にあってJR東日本が「就職したい会社」であり続けることにも貢献するだろう。
長野県・北信濃エリアの観光型MaaS(マース)「旅する北信濃」は「通年サービス化から2年目を迎えて定着してきた。いずれは対象エリアを県内全体に拡大し、『長野の旅なら「このアプリ」』と言われる存在にしたい」と思い描く。併せて、来春には県内のSuica利用駅が21駅から43駅へ拡大する予定で、MaaSと共に観光面の武器として利用拡大を目指す。
休日はジョギングに汗を流す。「県内各地で開催されるどの大会に出場しようか探しているところ」。大切にしている言葉は「ローマは一日にして成らず」と「急がば回れ」。物事が成就するのは着実な積み重ねがあってこそ。建設工事で培った姿勢を大切に、支社のかじ取りに臨む。(岡崎 慎也記者)
◇下大薗 浩(しもおおぞの・ひろし)氏略歴 1994年4月JR東日本入社。建設工事部課長、総合企画本部投資計画部課長、大宮支社総務部長、東京工事事務所次長、建設工事部企画ユニットユニットリーダーなどを経て今年6月から現職。福岡市出身。54歳。
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