交通新聞社 電子版

墨滴 3月29日付

2024.03.29

 赤い三角屋根の旧国立駅舎の横に、木材のやさしい色合いが印象的なガラス張りの建物――。JR中央線コミュニティデザインは27日、中央線国立駅南口にJR東日本グループ初の木造商業ビル「nonowa国立SOUTH」を開業した。構造部などへ積極的に木材を使用し、二酸化炭素(CO2)の固定化や森林資源の循環利用促進に寄与。使用電力は全て再生可能エネルギーで賄う▼柱材には北欧産のオウシュウアカマツ、梁材(りょうざい)の耐火被覆に福島県産・北海道産のカラマツ、柱梁や壁の仕上げ材に多摩産材スギを使用。案内サインやトイレの取っ手に使用しているのは、老朽化のために伐採された東京都国立市内の桜の木だ。このような木材使用例の説明が館内各所で掲出され、理解を深めるのに役立つ▼1、2階にはナチュラルスーパーマーケットやカフェなどが入るが、開店初日は入場制限をするほどの人出だったといい、早くも地域の暮らしをサポートしている▼開業前日の内覧会で髙橋好一社長は「旧国立駅舎を引き立てつつ調和がとれるような建物を目指した」と話していた。「サステナブル」をキーワードに、景観やまちづくりに力を入れる国立という立地にふさわしいビルが誕生したのではないだろうか▼駅前から延びる大学通りは桜の名所として知られる。今年は開花が遅れているが、まちの新たなランドマークに彩りを添えてくれるのも間もなくだ。

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