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特集 JR東日本 5月スタート滑り出し好調 「JRE BANKサービス開始」

2024.06.03
サービス開始に当たり大々的なプロモーションが展開されている。新宿駅南改札内コンコースに4月に全面開業した3種類の大型サイネージ「新宿BBB(スリービー)」では数分おきに迫力ある映像が流れた

 JREポイント生活圏拡大

 JR東日本は5月9日から、同社グループのビューカードと共に、JR東日本グループブランドのデジタル金融サービス「JRE BANK(ジェイアールイーバンク)」を開始した。グループ経営ビジョン「変革2027」で掲げるビジネスプラットフォームの一環として、JRE BANKと各種サービスを連携し、グループ共通ポイント「JRE POINT」の生活圏を拡大。利用者の利便性向上や心豊かな生活の創造を目指す。JRE BANKの概要や狙いなどについて、関係者の話を交えて紹介する。(相川 夏子記者)

 

 利用の好循環 生み出す

 概要と狙い

 JRE BANKは、ネット銀行大手の楽天銀行(東京都港区)が保有する銀行運営システムなどのインフラを活用し、ビューカードが同銀行を所属銀行とする銀行代理業者として各種契約締結の媒介を行う。個人による取引が多く、多様な顧客層を抱えた銀行サービスを展開している楽天銀行は、幅広い層が利用するJR東日本やグループ会社のサービスと合致したという。

 利用者は、スマートフォンでJRE BANKアプリまたはウェブサイトから口座を開設。振り込み、入出金明細、定期預金、外貨預金、ブランドデビット機能付きキャッシュカード、住宅ローンなど、楽天銀行が提供する銀行サービスを利用できる。

 このうち、ブランドデビット機能付きキャッシュカードは、JCBと提携し、JCB加盟店を利用の際、口座から即座に引き落とし、支払いが可能。Suica、ビューカードに加えた新たな決済方法として、利用者の多様なニーズに応える。

 支店名はJREはやぶさ支店、JREとき支店、JREこまち支店とし、口座数の推移により、はやぶさ、とき、こまちの順に指定していく予定。

 4月9日の定例社長会見で、喜㔟陽一社長は「個人のお客さまと金融サービスを通じた接点をつくり、『JRE POINT生活圏』の拡充に結び付けていきたい」と狙いを述べた。長期間の接点を持ち、資産情報を把握できることでデータを活用した新たなサービスも考えられる。日常的に利用する銀行サービスを入り口に、グループの事業領域を生かした特典を提供し、JRE POINTをハブにさらなる利用の好循環を生み出すことを目指す。

 

 幅広い事業領域を生かす

 一般的な銀行サービスに加え、JR東日本グループの事業領域を生かした多彩な特典が話題を呼んでいる。特典をグループのサービス利用のきっかけとして、グループ全体の収益向上につなげる狙いがある。

 JR東日本は利用状況に応じて▽JR東日本営業路線内の片道運賃・料金を4割引きする優待割引券(年間2回判定、最大年10枚進呈)▽「どこかにビューーン!」2000ポイント割引クーポン(4回、12枚)▽普通列車グリーン車のSuicaグリーン券(モバイルSuica限定、4回、4枚)――を提供。

 グループ会社でも、高速バス無料クーポン(ジェイアールバス関東)、NewDaysアプリクーポンセット(JR東日本クロスステーション)、駅レンタカー割引(JR東日本レンタリース)など、さまざまな特典を用意する。ルミネ、千葉ステーションビル、仙台ターミナルビル、ジェイアール東日本都市開発では、運営する商業施設で18~24歳向けの特典を設定している。

 駅のATM「VIEW ALTTE(ビューアルッテ)」では、JRE BANK口座の残高の現金引き出しが、上限回数なく無制限に手数料無料で利用できるのも魅力だ。

 また、JRE POINTリンク登録をすることで、利用状況や会員ステージに応じて提携ATMや他行振り込みの手数料が無料になるなど、さまざまな特典が受け取れる「JRE BANKプラス」サービスも設ける。毎月25日終了時点の預かり資産残高、前月26日―当月25日の取引実績で会員ステージを判定し、翌月1日に適用する。

 

 「銀行」ない状態から準備 

 JRE BANKサービスが明らかになったのは2022年12月。JRE POINT生活圏拡大に向けて何ができるか、JR東日本とビューカードの両輪で特典の提供など、開始に向けた準備が進められてきた。

 岡部征次郎JR東日本マーケティング本部戦略・プラットフォーム部門決済・認証ユニットマネージャーは「銀行サービスがまだない状態の中、一つ一つつくりながらの説明だった。お客さまに支持いただけるか不安に思いながら特典を考えた」と明かす。

 ビューカードは昨年2月に「JRE BANK推進部」を発足。行政関係の手続きや規約の作成、サービス内容の詳細などを詰めていった。関東財務局に銀行代理業者の申請を行い、今年1月に許可。利用者向けのコールセンターや特典のデジタルクーポンの発行システムを立ち上げ、カード券面やプロモーションなどについてもJR東日本や楽天銀行と協議しながら進めてきた。

 和田晃一ビューカードJRE BANK推進部長は「さまざまな企業が銀行代理業者として特典を提供しているが、グループ各社の力を借りなければ、JRE BANKの魅力的な特典は提供できなかった」と振り返る。

 

 まずは100万口座

 4月9日の定例社長会見で特典が明らかになると、その豪華な内容がSNSで話題に。5月9日のサービス開始直後は「想定をはるかに超えた」口座開設の申し込みが殺到した。当初は開設申し込みのメールが届かないなどの問題も発生したが、現在は解消されている。「まずは100万口座達成」(喜㔟社長)とする目標に向けて、好調な滑り出しを果たした。

 関係者は先を見据えている。「安定的に当社やグループ会社のサービスをご利用いただき、JRE BANKがお客さまにとってもお得、われわれにとってもありがたいハブの形になれれば」(岡部マネージャー)、「ビューカードはこれまでクレジットカード事業が主軸だったが、銀行代理業やその他のサービスメニューも増やしたい。JR東日本と協力して魅力的なサービスを提供し続けるのがサービスイン後のわれわれのミッションだと思っている」(和田部長)

 

 口座開設で最大6000ポイント キャンペーン展開中

 サービス開始に当たり、JRE POINTを最大6000ポイント進呈する口座開設キャンペーンが始まった。開設した口座に条件達成締め切り日の資産残高が3万円以上あると3000ポイント、さらにビューカードの利用代金引き落とし実績があると1000ポイント、給与・賞与・年金の受け取り実績があると2000ポイントを進呈する。

 口座開設の申し込み期間に応じて、自動的に第1期(6月30日までに口座開設申し込み、条件達成締め切り日9月30日)、第2期(7月1日~10月31日、来年1月31日)、第3期(11月1日―来年4月30日、来年7月31日)のキャンペーンにエントリーされる。ポイント進呈はそれぞれ10月末、来年2月末、同8月末の予定。

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