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運輸安全委員会 東北新幹線列車脱線の調査報告

2024.04.02

 運輸安全委員会は3月28日、2022年3月の福島県沖地震で東北新幹線「やまびこ223号」が脱線し、乗客6人が負傷した事故に関する鉄道事故調査報告書を公表した。脱線の直接的な原因は▽地震動による軌道面の強い揺れ▽揺れに伴う車体のローリング――と指摘。ローリングにより左右いずれかの車輪が上昇してレールを乗り越えロッキング脱線に至ったとした。さらに、ローリングに伴う空気ばねの過大な変形による空気抜けが脱線を助長したと指摘した。

 事故は22年3月16日23時37分ごろ、東北新幹線福島―白石蔵王間で発生。東 京発仙台行き(17両、乗客75人、運転士1人、車 掌4人)が福島駅を約5分遅れで発車、時速約154㌔で走行中に緊急ブレーキが作動し停止した。停止後、運転士は大きな地 震動を感じ、揺れが収まった後に確 認したところ、複数車両が脱線していた。

 同日は23時34分に最大震度5弱(マグニチュード6・1)の地震が発生し、早期地震検知システムが作動して列車停止、同36分に最大震度6強(同7・4)の地震が発生、37分前後に脱線地点付近で地震動が観測されていた。

 脱線輪軸は17両68軸中60軸で、うち10軸は逸脱防止ガイド、ガイドと同種の役割を果たす排障器取付腕がレールから外れ逸脱していた。報告書では一時逸脱の可能性のある2軸を加え計12軸が逸脱と推定。逸脱については、脱線後に継続した地震動により、逸脱防止ガイドがレールを乗り越えた可能性などを示した。また、排障器取付腕は逸脱防止ガイドと比べレールに掛かる部分が小さく、設置の6軸全軸が脱線、うち3軸が逸脱していた。

 報告書では、脱線に直接影響するような軌道面の大きな沈下や構造物境界部の段差などが見られなかったことから、高架橋などの損傷が脱線の直接の因子ではなかったと考えられると指摘。脱線時に列車が停止していたこと、多くの逸脱防止ガイドなどが機能して軌道からの大きな逸脱を防いだことが、被害拡大の防止につながったと推測している。

 再発防止策として、事故後にJR北海道とJR東日本は、排障器取付腕のレールに掛かる部分の形状を改良し、台車と車体の間に揺れを抑制する左右動ダンパの導入を検討。国土交通省では新幹線の地震対策の検証委員会を発足させ、一部高架橋柱の補強の前倒しなど耐震補強の当面の方針を含む中間とりまとめを公表している。

 報告書では▽脱線・逸脱防止対策のさらなる高機能化の検討▽走行中の逸脱で被害拡大の可能性のある列車先頭部の先頭軸について、逸脱を極力させない有効な対策の実施▽車両や構造物の改良による振動抑制対策の検討、研究、技術開発を進めること――などが望ましいとした。

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