交通新聞社 電子版

墨滴 8月20日付

2024.08.20

 食品ロスの問題。世界で生産された食品の実に4割相当、年間約25億㌧(2021年発表)が廃棄されている。一方で飢餓状態の人は約8億2000万人と、10人に1人。開発途上国は食料不足、先進国は食料廃棄という食の不均衡も顕著だ▼日本も食品ロス大国で、22年度には、飢餓に苦しむ人向けの世界の食料支援量とほぼ同量の472万㌧を廃棄した。過剰生産や流通過程での賞味期限切れなどによる事業系と、食べ残しなどの家庭系が半々となっている▼食品ロスを少しでも抑えようと、JR東日本グループの日本ホテルは系列の9ホテルで22年4月から、直営レストランで食べ残した自分の料理をドギーバッグに入れて持ち帰る「mottECO(モッテコ)」に取り組んでいる▼飲食業界などでモッテコは徐々に認知され、「導入したい」と前向きな事業者も多い。しかし、事故発生時の責任の所在やコスト面などの課題もあって広がりはこれから。ポイントは、完全に自己責任の下で行い、提供側と持ち帰る側が十分な理解と認識を持つことだ▼国連食糧農業機関日本担当親善大使を務める中村勝宏日本ホテル統括名誉総料理長は「いかに食べ切るかが大切。持ち帰ることが前提ではない」と指摘する。買い過ぎない。作り過ぎない。注文し過ぎない。食品ロス削減のためにできることは目の前にある。

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