交通新聞社 電子版

墨滴 4月17日付

2024.04.17

 桜が咲き、新緑がまぶしい季節になった。木々を見ると心が安らぐ。最近訪れた取材現場では木材がインテリアとして効果的に使われているのが印象に残った▼3月27日に開業したJR中央線コミュニティデザインの「nonowa国立SOUTH」はJR東日本グループ初の木造商業ビル。構造部はもちろん、内装にも多摩産材の杉などが積極的に使われている。地元・国立の桜の幹や枝を輪切りにして組み合わせた案内サインが愛らしい▼今月8日に開業したJR東京総合病院「e棟」。人間ドックセンターが入る1、2階の待合スペースは、多摩産材を使用したソファがゆったりした間隔で並ぶ。待ち時間も快適に過ごせそうだ。両施設とも多摩産材の利用を各所に掲示し、来訪者への情報発信と地域材に触れる機会の創出を図っていた▼JR東日本東京建設プロジェクトマネジメントオフィスの取材で訪れたのは、2022年3月に竣工(しゅんこう)したJR東日本ビルディングの「JR目黒MARCビル」。JR盛岡支社管内の鉄道林の間伐材を使ったいすやテーブルが置かれ、観葉植物に囲まれたカフェスペースでの取材は和やかに進んだ気がした▼木材には目に有害な紫外線を吸収する働きや、視覚・触覚面での温かさ、香りなどによるリラックス効果があり、それが心地良さにつながるという。窓のない殺風景な記者室で原稿を書きながら、目の前の古い木の棚にその効果を求めている。

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