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JR東日本 廃棄物の循環型経済を積極推進 コンセプト策定

2024.07.08
建設工事が進む「Jサーキュラーシステム 川崎スーパーソーティングセンター」のケミカルリサイクル用原料製造設備(JR東日本提供)

 事業化、10年間で売り上げ100億円規模

 JR東日本の喜㔟陽一社長は4日の定例会見で、同社グループが取り組むサーキュラーエコノミー(循環型経済)について、資源循環事業コンセプト「UPCYCLING CIRCULAR(アップサイクリング サーキュラー)」を策定したと発表した。事業活動から生じる廃棄物を集約し、新技術や外部連携を活用しながら再資源化。グループ内で利活用することで、持続可能なサーキュラーエコノミーをさらに推進する。新たな資源循環・エネルギー分野の事業化にも積極的に取り組み、今後10年間で売り上げ100億円規模を目指す。

 

 地方での展開も検討

 同社グループは、グループ経営ビジョン「変革2027」で「ESG経営の実践」を掲げ、2030年度までを目標とした3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取り組みをはじめとしたサーキュラーエコノミーに取り組んでいる。

 具体的な取り組み例としては、▽食品廃棄物を電力と肥料に変える「ダブルリサイクルループ」の構築▽東日本エリア初のビルイン型バイオガス設備▽使用済みプラスチックのリサイクル事業――が挙げられる。

 ダブルリサイクルループでは、JR東日本環境アクセスなどが食品廃棄物を収集・運搬し、JR東日本グループが出資するJバイオフードリサイクル(横浜市鶴見区)と東北バイオフードリサイクル(仙台市宮城野区)でメタン発酵による処理と発電・肥料生産を行っている。

 今年4月からは、食品廃棄物由来の再エネ電力をJR東日本商事が排出元の駅ビルなどへ供給する電力リサイクルループを開始。今後は生産された肥料を使って栽培した農作物を、産直市での販売や同社グループの飲食店で利用する「農業リサイクルループ」の実現を目指している。

 ビルイン型バイオガス設備は、来年3月にまちびらきを迎える「TAKANAWA GATEWAY CITY」の「THE LINKPILLAR 1(ザ リンクピラー ワン)」の中に設置。食品廃棄物1日約4㌧を再利用し、食品廃棄物の約7割減量を見込むとともに、生成されたガスを燃料としてバイオガスボイラーを使用。同シティ内のホテルの給湯で約10%の熱として活用する。

 使用済みプラスチックのリサイクル事業では、JR東日本とJR東日本環境アクセス、JFEエンジニアリング(東京都千代田区)のグループ会社であるJ&T環境(川崎市幸区)の3社が23年7月に設立した「Jサーキュラーシステム」(川崎市川崎区)が、川崎市川崎区にプラスチックリサイクル施設「Jサーキュラーシステム 川崎スーパーソーティングセンター」を建設中。

 今年10月からケミカルリサイクル用原料製造施設(圧縮・固化)を先行稼働し、その後、高度選別設備を稼働する計画で、来年4月の本格稼働後は年間約6万㌧を受け入れ、プラスチックリサイクル工場としては東日本最大の処理能力となる見込み。

 JR東日本グループでの再利用は、再生ペレットからのリサイクル製品やガス化による水素・アンモニアでの再利用を検討しており、川崎発電所で水素を発電機の冷却に、アンモニアを排ガスの脱硝に一部利用する。

 今後は、これまで取り組んできた事業の規模拡大や地方での事業展開について検討。社会的ニーズが高まっている廃食油や繊維などの事業化も積極的に検討する。今後10年間で同コンセプトの取り組み10件以上、資源循環・エネルギー事業の売り上げ100億円規模を目指す。

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