第35回「JRスポーツ賞」 個人賞・江島由高氏
個人賞
デフサッカー
JR東日本パーソネルサービスヒューマンリソース(HR)事業本部東京BPOサービスセンター
江島由高氏
世界選手権で銀 けが乗り越え再受賞
第31回に続き2回目の「JRスポーツ賞」個人賞に輝いた。前回の受賞後、右膝前十字靭帯(じんたい)断裂と右膝軟骨損傷で約1年半のブランク。さらに2022年ブラジル開催の「第24回夏季デフリンピック競技大会」は、コロナ禍のため前年のアジア予選出場を辞退。「暗い所をぐるぐる回っていた」。苦しい時期を経ただけに「2回目の受賞はとてもうれしい」と喜ぶ。
長いサッカー人生のハイライトは昨年9月だった。日本代表DFとして出場した「第4回ろう者サッカー世界選手権大会」(デフサッカーW杯)で銀メダルを獲得した。決勝のウクライナ戦は「世界王者との距離感を肌で感じて大きな自信になった」と振り返る。
選手としての活動に加え、16年には健常者と障がい者が融合したサッカーチーム「レプロ東京」を設立。中学校やイベントでのデフサッカーの体験や、聴覚障がいのある子どもたちへの指導などにも取り組む。
選手として最大の目標は、東京で来年開催される「第25回夏季デフリンピック競技大会」での金メダル獲得だ。「日本の男子サッカーで初の優勝を成し遂げ、新たな歴史を刻みたい」
デフサッカーの進むべき道とは。「日本は国際経験が少ない。海外遠征の機会を増やすため、競技の知名度や注目度を高めて周囲の理解を得ることが大切。そこから選手に責任感が生まれ、競技力の向上につながる」。透徹した目で将来を見通す。
今年4月、サッカーJ2リーグの試合中継で初の手話解説の生配信に挑戦した。不安もあったが、自身の経験を生かして聴覚障がいのあるサポーターに情報を届けることができた。「サッカーを通じて誰かのためになり、社会を良くしていきたいとの思いがより強くなった」と胸中を明かす。
サッカーは「人とのつながり、夢を持つ楽しさ、続けることの大切さなどをもたらしてくれた」存在だ。新たな挑戦のたびに、サッカーへの恩返しの道筋が見えてくる。
(岡崎 慎也記者)
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