政府 物流革新と賃上げに向けた取り組みと2030年度に向けた中長期計画を策定
政府は16日、物流の関係閣僚会議(持ち回り開催)を開催し、物流革新と賃上げに向けた取り組みと2030年度に向けた中長期計画を取りまとめた。昨年6月に決定された「物流革新に向けた政策パッケージ」の施策について、30年度までのロードマップを作成するもので、施策なしの場合に同年度で見込まれる19年度比34%減の輸送力を補うことを目指す。中長期計画については、毎年度フォローアップを行い、次期(26~30年度)の「総合物流施策大綱」を閣議決定するタイミングに合わせて見直す。
トラック運転手の残業規制強化に伴う物流業界のいわゆる「2024年問題」をにらみ、政府は昨年6月に同パッケージを発表。可能な施策の前倒しを図るため、10月には即効性の高いものを絞り込んだ「物流革新緊急パッケージ」を策定した。
中長期計画では、主要施策のポイントに①適正運賃収受や物流生産性向上のための法改正など②デジタル技術を活用した物流効率化③多様な輸送モードの活用推進④高速道路の利便性向上⑤荷主・消費者の行動変容――の5点を掲げた。
①は一定規模以上の荷主・物流事業者に対する荷待ちや荷役時間短縮に向けた計画作成の義務付け、トラック事業での多重下請け構造是正に向けた実運送体制管理簿の作成、契約時の書面による交付などの義務付けを第213回通常国会で法制化する。
併せて、トラックドライバーの賃上げなどに向けた貨物自動車運送事業法に基づく「標準的運賃」引き上げと「標準運送約款」の見直し、不適正な取引の監視を強化するため国土交通省が昨年7月に発足させた「トラックGメン」による悪質な荷主・元請事業者への指導の徹底を行う。
②は荷待ち・荷役時間短縮への自動化や機械化設備、システム投資を支援し、これらの時間を30年度までに19年度比で年間125時間以上削減するほか、積載率向上に向けた共同輸配送や帰り荷確保の促進を通じて、積載率を30年度までに19年度比16%以上の増加を目指す。自動運転やドローン物流といったサービスについても、実装への取り組みを加速する。
このほか、③は大型コンテナの導入支援などを通じたモーダルシフトの推進強化や自動物流道路の構築、自動運航船の本格的な商用運航、④は1台で通常のトラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」の導入促進や対象路線の拡充、⑤はポイント還元実証事業などを通じた再配達削減の仕組みの社会実装などに注力する。
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