特集 38年目迎えたJRグループ JR東海
業務改革と収益拡大が柱、経営体力を再強化
「N700S」の投入を継続
生活様式や働き方の変化、労働力人口の減少といった外部環境の変化を踏まえ、ICT(情報通信技術)などの最新技術を活用して効率的な業務執行体制を構築する「業務改革」と、新しい発想による「収益の拡大」の二つを柱にして、引き続き経営体力の再強化を推し進める。
東海道新幹線は、「N700S」の投入を継続。本年度と2025年度に各7編成を計画し、26年度末までに計59編成体制とする。車内の「ビジネスブース」をN700S全編成に整備するなど、ビジネス環境整備を進める。自動運転システム(GOA2)の導入に向けては、走行試験を継続する。
安全対策面では、新幹線全駅へのホーム可動柵整備に向けた調査設計を進める。大規模改修工事は引き続き、土木構造物の経年劣化対策を実施。大規模地震への備えでは、脱線防止ガードの全線敷設をはじめとした脱線・逸脱防止対策について、28年度をめどに工事を完了する計画で継続する。
4月以降は、二つの法人向けサービスを始める。東海道・山陽新幹線での二酸化炭素排出量実質ゼロ化のサービスや東海道新幹線での即日荷物輸送サービス「東海道マッハ便」で、地球環境保全を通じた持続可能な社会の実現とともに需要の喚起・創出を図る。
在来線は、通勤電車「315系」の投入線区を拡大。3月の東海道線大府―大垣間と武豊線全線に続いて、6月に東海道線熱海―豊橋間、11~12月ごろには御殿場線、身延線で予定する。
特急「しなの」は、383系からの取り換えを見据え、新型特急車両「385系」量産先行車の新製に向けた詳細設計を進める。26年度以降に量産先行車を用いた走行試験を行い、29年度ごろを目標に量産車を投入する。
安全対策としては、地震対策のほか、ホーム可動柵の設置工事を進め、名古屋駅5、7、8番線で6月から来年12月にかけてそれぞれ使用を開始する予定。
東海道新幹線10月に開業60周年
営業施策では、10月の東海道新幹線開業60周年にあたり、イベントの実施などによりこれまでの愛顧への感謝を示すとともに、リニア中央新幹線を含む将来の高速鉄道の進化に対する期待感の醸成に取り組む。
カーボンニュートラル実現に向けた取り組みでは、模擬走行試験を通じて、燃料電池または水素エンジンを活用した水素動力車両に関する開発を進める。
超電導リニアによる中央新幹線計画は、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視し、品川―名古屋間で引き続き駅やトンネル、高架橋、橋りょうなどの各種工事を精力的に進めていく。
昨年12月には、同区間の建設に必要な認可がそろい、全ての工事を実施することが可能になった。なお、工事完了の予定時期は、南アルプストンネル静岡工区のトンネル掘削工事着手の見込みが立っていない状況を踏まえ、「27年以降」としている。
鉄道以外の事業では、4月1日から同社グループ共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」の対象店舗を駅構内店舗に拡大。このほか、26年度開業予定のホテル「コートヤード・バイ・マリオット京都駅」の開発をはじめ、グループ事業拡大に向けて果敢に挑戦していく。
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