交通新聞社 電子版

特集 京王・小田急 「変化する 駅周辺開発」遊ぶと働く

2022.04.14
㊤「ミカン下北」㊦ビナガーデンズに誕生した「パーチ」(左)と「オフィス」の2施設

 コロナ禍で生活が変わり始めてから、既に2年以上が経過した。そうした中、鉄道会社が整備する施設にも地元や医療との連携、働く場づくりなど変化が出てきている。3月30日に京王電鉄が井の頭線下北沢駅高架下などに開業した「ミカン下北」(東京都世田谷区)、4月4日に小田急電鉄が小田原線海老名駅西口の開発エリア「ViNA GARDENS(ビナガーデンズ)」(神奈川県海老名市)で一部先行開業した「ViNA GARDENS PERCH(パーチ)」と「同OFFICE(オフィス)」の各施設について紹介する。

(鴻田 恭子記者)

 

 ■京王下北沢駅高架下ミカン下北

 地域とつくる新しい動き

 余白持たせ 開業後の成長見込む

 「ミカン下北」は、下北沢駅渋谷方の高架下の延長約140㍍のエリアに誕生した施設。コンセプトは「ようこそ。遊ぶと働くの未完地帯へ。」。下北沢を絶えず変わり続ける未完のまちと位置付け、個性的な店舗が集まる下北沢の魅力を感じられる商業エリアと、遊びの要素を取り込んだワークプレイスを同居させた。A~Eの五つの街区で構成し、うちC街区の駐輪場は既に使用開始、B街区は夏の開業予定。

 3街区の開業に当たり、南佳孝京王電鉄取締役・常務執行役員は「既にアイデンティティーを持っているまちの良いものを生かし、新たな視点や刺激を取り入れ、新しい動きをつくっていくのが今のまちづくり。地域やパートナーと一緒に、まちの発展を考えた」と語る。その上で①開かれた施設②余白を持たせた施設③働く視点を取り込む――3点に配慮して開発を進め、開業後の成長の余地を持つ施設とした。

 5街区の延べ床面積は約5300平方㍍。A・B街区は高架下と張り出し部分(高架横)の5階建て、他は2階建てだ。

 施設の特徴の一つが「働く」機能を持たせたことだ。A街区4・5階にワークプレイス「SYCL(サイクル) by KEIO」(ヒトカラメディア運営)を開設し、コワーキングスペースとスモールオフィスの入居を受け付け。いずれも会員制で、会員間の交流を促す仕掛けも施している。夏にはB街区3~5階にもオフィスを設ける。A街区の「TSUTAYA BOOKSTORE(ツタヤブックストア)」にもシェアラウンジを設け、働き方に合わせて使える場を設けた。

 A・D・E街区にはSYCLやツタヤのほか、同区の図書館カウンターなど18店舗(うち2店 舗は6月開業予定)が誕生。地元で人気の古着・雑貨店「東洋百貨店 別館」、カフェ・ホットドッグ・ダイニングの三つを一つの店 舗にした「SHIMOKITA MEAT SPOT(シモキタミートスポット)」、購入したワインを下北沢の他の店舗で飲める「下北沢ワインショップ・Bar FAIRGROUND」などが入る。駅側高架下には居酒屋などを集めた。

 小田急と連携スタンプラリー

 1月には下北沢駅で交差する小田急も線路地下化跡地の再開発「下北線路街」の計画施設をほぼオープン。2社は地元と連携し、今月30日までスタンプラリー「Meets下北沢」を展開しており、今後もまちの一員として地域活性化に取り組む方針。このほか、京王ではクリエーター・アーティスト集団のコネルとともに、ウェブメディア「東京都実験区下北沢」を立ち上げ、下北沢での実験的な取り組みを紹介していく。

 ■小田急海老名駅間地域ビナガーデンズパーチ

 エリア最大級医療モール

 心身の充足へ 地域と連携しサポート

 小田急は開発を進めてきた海老名駅間地域「ビナガーデンズ」内のサービス施設「パーチ」を一部先行開業した。

 ビナガーデンズは、小田急とJR相模線の海老名駅の間に広がる約3万5000平方㍍の区画の名称で、「憩う・くらす・育む」が開発コンセプト。これまでに2駅を結ぶ自由通路に面した商業施設「ViNA GARDENS TERRACE(ビナガーデンズテラス)」やコンビニエンスストアが開業し、分譲タワーマンション2棟も竣工(しゅんこう)。隣接区画には昨年4月、「ロマンスカーミュージアム」もオープンした。

 「パーチ」は、自由通路小田原方に立地する10階建てのビル(延べ床面積約2万6050平方㍍)で、心身の充足(ウェルネス)がコンセプト。今回開業はこの6・7階で、6階に地元で調剤薬局を展開するメディカルガーデンによる地域最大級のクリニックモール「ViNA CLINICs(ビナクリニックス)」、7階に健診センターと夕方以降の診療にも対応するクリニックを備えた複合型医療施設「カラダテラス海老名」(ジャパンメディカルアライアンス運営)がそれぞれ誕生した。

 6階のモールには通常より解像度の高い画像を撮影できるMRI装置・CT装置を備えた脳神経外科をはじめ、総合内科や美容外科、薬局、海老名市の新型コロナウイルスワクチンデスクなどが並ぶ。7階施設は6階の各クリニックや地域の医療機関とも連携し、健診から治療までをサポートしていく。

 夏には8~10階にフィットネスクラブ(ルネサンス運営)などが入り、6・7階施設や小田急、海老名市とも連携し、健康支援で連携。3~5階は秋以降開業予定、1、2階は駐車場などに使う予定だ。

 「オフィス」はBCP設備充実

 自由通路新宿方の「オフィス」は14階建てで延べ床面積約3万3960平方㍍で今年1月に竣工。環境への配慮とともに、地震対策や停電時の自家発電機など災害時のBCP(事業継続計画)を支える設備を充実。下層階にはエントランスやサテライトオフィス、小田急グループの現業機関、貸会議室などが入る。両建物とも管理・運営は小田急不動産が担う。

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