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東京メトロ・鉄道総研など 5G活用の鉄道システム実証試験へ 列車運行システム実証は国内初 8月から丸ノ内線で

2024.01.26
実証試験の構成イメージ(東京地下鉄提供)

 東京地下鉄(東京メトロ)と鉄道総研、日立製作所(東京都千代田区)、三菱電機(同)、NTTコミュニケーションズ(同、NTTコム)の5者は24日、第5世代移動通信設備(5G)を活用して、地下のトンネル内や地上の線路内などに設置された地上設備と列車間での5G通信を実現するため、8月から実証試験を開始すると発表した。無線式列車制御(CBTC)システムのデータ伝送などを含む鉄道用通信システムの実証試験を東京メトロ丸ノ内線で実施する。高速・大容量通信が可能な5Gを活用した列車運行システムの実証試験は国内で初めて。

 実証試験は、一部地上区間のある丸ノ内線新大塚―後楽園間で2025年3月までの夜間に実施予定。欧州などで規格の検討がされているFRMCS(Future Railway Mobile Communication System=次世代の鉄道向け無線通信システム)のプラットフォームの仕様を参照した鉄道用通信基盤のプロトタイプを、東京メトロのフィールド内に構築。通信事業者がサービス提供するパブリック5G、独自のネットワーク構築などが必要なローカル5Gを用い、電波環境の測定などを行う。

 また、CBTCをはじめとする列車運行システムの制御試験や、センサー・画像の伝送試験などで動作を確認。実用性を検証することで、鉄道システムへの活用を客観的に評価し、適用できる範囲を「見える化」する。

 現在の鉄道通信システムは、セキュリティーなどの観点から各鉄道会社が独自にネットワークを構築しており、汎用(はんよう)性の低さや開発・維持管理コストの増大、メンテナンスなどが課題となっている。

 そこで、ローカル5Gのほか、パブリック5Gの活用についても検証し、設備投資低減やメンテナンスの効率化を目指す。さらに、基盤のプロトタイプについては、実証試験を通じ、必要な要素や水準が欧州とは異なる日本国内で、鉄道事業者が共通利用できる基盤の仕様案を作成。欧州で検討中のプラットフォームとの将来的な互換性も考慮したシステムにより、国際標準化への対応を目指す。

 各社の役割は、東京メトロが試験車両運行と試験監修、鉄道総研が基盤研究に関する知見の提供・評価、NTTコムがパブリック5Gネットワークの活用と技術的支援。日立製作所と三菱電機はローカル5Gネットワークと鉄道用無線通信基盤を含む地上・車上設備に関する設備構築と技術的支援を担う。

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