交通新聞社 電子版

元旦号 2024公民鉄 今年の話題 関東

2024.01.01
東急「渋谷アクシュ」のイメージ(渋谷二丁目17地区市街地再開発組合提供)

 大規模開発が各所で進展

 タッチ決済拡大

 コロナ禍からの経済回復が進む中、首都圏各社が運賃改定やバリアフリー料金徴収を開始。大手9社中唯一、前年に値上げ、バリアフリー料金の運賃加算とも実施しなかった京成電鉄も、3月16日からバリアフリー料金の収受をスタートする。関西・九州エリアを中心に実証が進むクレジットカードのタッチ決済については、昨年東急電鉄がタッチ機能を活用した乗車の実証を開始、京王電鉄が本年度内の実証開始を発表した。2024年度には東急電鉄、東京地下鉄(東京メトロ)もタッチ決済の実証を予定する。

 

 都心部では新宿、渋谷、品川

 新線関係では22年3月に第一種鉄道事業許可を受けた東京メトロの有楽町線延伸(豊洲―住吉間)、南北線延伸(品川―白金高輪間)で関係各所との調整や地質・埋設物などの調査・設計が進む。開業目標は30年代半ばを予定する。

 大規模開発は新宿、渋谷、品川など都内各所で進展。新宿エリアでは29年度竣工を目指す小田急電鉄、東京地下鉄(東京メトロ)、東急不動産による西口地区開発の工事が行われている。同じ新宿では京王電鉄とJR東日本による新宿駅西南口地区開発計画もスタート。甲州街道を挟んで南北で整備時期をずらし、先行する南街区では28年度にかけ、店舗や事務所、宿泊施設などが入る地上37階・地下6階建てのビルを整備。北街区は南街区竣工後に着工予定で、京王では併せて新宿駅の改良工事も行う。

 品川エリアでは昨夏、京浜急行電鉄とJR東日本による品川駅街区の開発計画の概要が発表された。京浜急行本線連続立体交差事業で地平化が計画されている京急の品川駅を含む場所。整備を南街区(事業主体・京急)と北街区(同・JR東日本)に分け、京急の南街区はa、bの2区画のうち、まずa区画に25年度から地上28階・地下2階建ての駅施設、事務所、店舗、宿泊施設などが入る建物を整備する。品川駅部は27年度の地平化完了を目指し工事中だ。

 京急の品川グース跡地、西武グループのグランドプリンスホテル新高輪などを含む西口地区の再開発プロジェクトも始動。都市再生機構(UR)による土地区画整理事業が昨年国土交通大臣の事業計画認可を受けている。

 渋谷では東急グループなどが面で開発を推進。12年の渋谷ヒカリエ開業以降駅周辺開発が着々と進み、渋谷駅直上の渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟、東急百貨店本店跡地「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」などが竣工予定の27年度までの計画が公表されている。

 24年度上期には東急と渋谷二丁目17地区市街地再開発組合による駅東口エリア「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」が開業予定。地上23階・地下4階建てで、周辺の坂との高低差を解消する縦動線や渋谷ヒカリエなど隣接街区と接続するデッキを整備。飲食店舗やウェルネスに関するサービス施設、オフィスなどが入居、同エリアの新たなにぎわいの拠点となることを目指す。

 

 西武所沢駅西口に今秋、新商業施設

 他のエリアでは、西武ホールディングスが進めてきた所沢駅周辺の開発が区切りを迎える。西武鉄道所沢車両工場跡地を含む「所沢駅西口計画」の核として22年に着工した広域集客型商業施設がこの秋開業予定。西武グループはこれまで埼玉・所沢を西武鉄道沿線の中心衛星都市と位置付け、所沢駅リニューアルや駅直結商業施設開業、西武ドーム(ベルーナドーム)ボールパーク化、西武園ゆうえんちリニューアルなど、所沢の「ベッドタウン」から「リビングタウン」への進化の取り組みを進めてきた。

 今回の計画では住友商事グループとともに地上7階建て(商業4層)の施設を整備。店舗はスーパーマーケット「サミットストア」やシネマコンプレックスなど約150店舗を予定する。

 相鉄グループも相模鉄道いずみ野線ゆめが丘駅前で、3階建ての大規模集客施設「ゆめが丘ソラトス」の整備を推進。同地区の土地区画整理事業に伴うもので今夏開業予定だ。こちらもシネコンを含む約140店舗が出店を予定する。相模鉄道では、施設側への改札口新設などゆめが丘駅のリニューアル工事も行っている。

 横浜では相鉄グループ、東急グループなどによる横浜駅きた西口鶴屋地区の「THE YOKOHAMA FRONT(ザ ヨコハマ フロント)」が3月竣工。日本初の「国家戦略住宅整備事業」認定施設で地上43階・地下2階建て、4~41階にレジデンスとホテル・サービスアパートメントが入る。大林組などの計画に京浜急行電鉄が加わる「みなとみらい21中央地区53街区開発事業」の「横浜シンフォステージ(YOKOHAMA SYMPHOSTAGE)」も3月末竣工予定だ。

 

 東武 アーバンパークラインに新型車

 車両関係では24年度から、東武鉄道が東武アーバンパークライン(野田線)に5両編成で環境配慮型の新型車両を順次投入。西武鉄道は小田急電鉄・東急電鉄から譲受の環境負荷の少ない車両「サステナ車両」のうち、小田 急の8000形を国分寺線に投入する。

 西武ではきょう1日から、全線の使用電力を実質的に再生可能エネルギー由来の電力(再エネ電力)にし、二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロでの運行も開始した。

 このほか、東武は秋に日光・那須のグランピング施設を開業、西武は春から駅ロッカーを使った配送サービス「BOPISTA」の本格展開、京王は春に高尾駅前のリノベーションビル「KO52 TAKAO」を開業予定。小田急は24年度稼働を目指し、神奈川・海老名エリアで東京電力ホールディングス、出光興産などと地域脱炭素化に向けた太陽光発電施設を整備する。

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