東京メトロ 24年度事業計画を発表
東京地下鉄(東京メトロ)は3月25日、2024年度事業計画を発表した。中期経営計画「東京メトロプラン2024」の最終年度として、「安心な空間」「パーソナライズド」「デジタル」の三つのキーワードをベースに、次世代に向けたコスト構造や業務の抜本的な見直しといった構造改革に注力。新線建設や都市・生活創造事業の強化など、新たな飛躍を目指した取り組みも推進する。
鉄道事業では、「人の動きの創出」として、クレジットカードのタッチ決済やQRコードを活用した新たな乗車サービスの実証実験を本年度中に開始する予定。交通・観光プラットフォーム事業会社のリンクティビティと資本・業務提携契約を締結して新商品を開発するなど、新時代のインバウンド戦略を進める。
未来への成長戦略の新線建設については、30年代半ばの開業を目指して有楽町線延伸(豊洲―住吉間)、南北線延伸(品川―白金高輪間)で、各種手続きに必要となる調査・設計の深度化を図る。
「新技術の導入とDX(デジタルトランスフォーメーション)による鉄道オペレーションの進化」は、本年度中に丸ノ内線でCBTC(無線式列車制御)システムの導入を開始予定。同線では、GOA2・5(緊急停止を行う係員付き自動運転)の実証実験を25年度から行うための準備も進めている。
また、地下のトンネル内や地上の線路などに設置された設備と列車間での5G通信を実現するため、今年8月から国内初となる実証実験を行う予定。将来の人手不足を見据えた鉄道運営の効率化や鉄道用通信基盤の仕様案を公開し、標準化を目指す。
併せて、車内セキュリティーカメラやエレベーター、ホームドアの設置拡大、震災・大規模浸水対策、コスト構造改革による固定費の削減などを進めていく。同カメラは本年度に全路線設置完了予定、ホームドアは25年度に全線整備完了予定。
都市・生活創造事業は、不動産事業の拡大とまちづくりの連携、アセットマネジメント事業への参入などを展開。このほか、海外鉄道や新規ビジネス、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みも実施する。
設備投資額は1146億円。内訳は旅客サービス362億円、安全対策309億円、都市・生活創造事業155億円など。新規不動産取得・開発や自動運転、技術開発といった成長投資に、約3割に当たる350億円を振り向け、中長期的な収益拡大につなげる。
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