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東京メトロなど 新型鋼管柱を開発 従来より安定調達しやすく

2024.09.06
㊤新型鋼管柱㊦鋼製積層型支承板のイメージ(東京地下鉄提供)

 東京地下鉄(東京メトロ)とメトロ開発、横河NSエンジニアリング(茨城県神栖市)の3社は、JIS規格鋼板を積層した「鋼製積層型支承板」を使用した新型鋼管柱を開発し、「マイエスタス(MY―ESTAS)」として製品化した。地下駅箱型トンネルの合成鋼管柱に使用している支承板を、従来の鋳鋼製から鋼製の積層型に変更。より効率的に製作でき、製品納期の短縮や安定調達を図ることが可能になった。新製品は横河NSエンジニアリングが販売する。

 

 地下駅の箱型トンネルで使用

 地下駅の箱型トンネルを支える合成鋼管柱は、従来は鋳造が必要な鋳鋼製朝顔形支承板を使用してきた。だが、駅の改良工事などで大量の合成鋼管柱が必要になると、長期間にわたって工場の生産ラインを確保しなければならず、調達に時間を要するケースもある。路線延伸などの大型プロジェクトを進める上で、鋼管柱の安定調達が課題となっていた。

 そこで3社では、切断加工した鋼板を使用する支承板を検討。単層の支承板では設計軸力増加による重量増が課題となるため、切断加工した複数の鋼板を溶接接合し、重量を抑えた支承板を開発した。従来の鋳鋼製支承板と同等の性能を確認できたため、これを採用した新型鋼管柱を製造した。

 新型鋼管柱の特徴は、「製作の効率性」と「調達の安定性」。鋳造をせずに調達しやすいJIS規格鋼板(SM材)を使用し、切断加工と溶接で効率的に製作できるため、納期の短縮にもつながる。

 鋼製支承板を使用した合成鋼管柱の設計では、さまざまな土かぶり・形状寸法を有する地下構造物への適用を目指し、柱部へ作用する設計軸力で、鋼製支承板の形状・寸法を示した標準寸法表を策定した。これにより、設計軸力を基に、合成鋼管柱の仕様・形状を標準寸法表から読み取ることが可能となり、設計実務の効率化にも貢献できる。

 また、新型鋼管柱の開発における載荷実験や数値解析の検証、設計業務への展開などに関する論文が、土木学会の令和5年度土木学会賞「論文賞」を受賞している。

 東京メトログループでは今後、大型プロジェクトなどで新型鋼管柱を多く採用するとともに、3社共同で地下空間工事での導入を提案していく。

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