交通新聞社 電子版

特集 日本鉄道施設協会「第12回鉄道施設技術発表会」 土木部門・交通新聞社賞

2024.08.05
佐藤康輔氏

 ■交通新聞社賞

 極狭ヤードにおける桁架設の工夫(~支点と視点の変更~) 

 ユニオン建設横浜支店横浜土木出張所 佐藤康輔

 JR東海道線・東海道横須賀線保土ケ谷―東戸塚間の線路4線に分断された樹源寺本堂と墓地を結ぶ樹源寺踏切の廃止を目的に、こ線人道橋を新設した。構造面からは線路左側に位置する工事用ヤードより、大型クレーンを使用したクレーン架設工法を基本としたが、現場付近は住宅街であり、工事用ヤードとしてスペースは極狭なヤードしか確保できなかった。

 2分割、3分割による架設も検討したが、いずれも課題の解決には至らなかった。限られた作業ヤード内に地組構台を設置することに苦慮していたところ、平面的には約17㍍しかないように見えたが、立体的には約27㍍の幅員が上空にあることが分かった。2次元から3次元への視点変更を機に、空間利用の観点からの検討を加速させた。

 構造的にクレーンを飲み込む形状でも安全な地組が可能となるように、クレーン旋回時を最小でかわせる形状を基本に、構台の受柱間隔を設定して安定計算を行い、安全に地組作業を行える形状を検討した。最長主桁約21・5㍍に対して22・5㍍の地組構台の構築が可能となった。地組作業スペースも確保することができた。

 ベントを線路側に寄せたことによる線路脇に位置する支持杭(くい)の存在が新たな課題として浮上した。営業線近傍での支持杭(深礎工)の構築では夜間作業になるため、日進量の低下や軌道変位に対しての常時監視、耐震性能における工事費の増加が危惧(きぐ)された。

 桁を仮受けするベントの支持杭に注目し、P1橋脚と第1桁を当夜のうちに本締めまで完了させる計画に変更し、第1桁はベントで荷重を受け持たない方法とした。さらに、第1桁と第2桁の接続ではベントで第2桁の荷重を受けるのではなく、上方から固定した部分を利用して、つり上げるような形で支持できないかを検討した結果、セッティングビームを用いることで可能とした。ベントの基礎を直接コンクリート基礎へ構造変更することも可能となった。継続監視も不要になった。

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