南海・泉北 経営統合へ 25年度早期の実現へ検討
南海電気鉄道は20日の取締役会で、完全子会社である泉北高速鉄道との経営統合に基本合意することを決議した。両社は、サステナブルな公共交通の経営の実現や、さらに競争力のある流通センターの確立に向けて経営資源を投入していくため、2025年度早期の経営統合に向けて検討を進める。
泉北高速鉄道の鉄道事業(中百舌鳥―和泉中央間)は、南海電鉄高野線(難波―中百舌鳥間)と相互直通運転を行い、郊外住宅エリアと大阪都心を結ぶ地域の交通インフラとしての役割を担っている。また、トラックターミナルや流通倉庫、配送センターなどの物流施設が一体的に立地する流通拠点・東大阪流通センター(東大阪市)、北大阪流通センター(茨木市)を運営している。
南海電鉄は、14年7月に大阪府などから旧大阪府都市開発の株式譲渡を受けて、泉北高速をグループ化し、以降、速達性向上や運賃値下げをはじめとした鉄道の利便性向上策を通じた沿線活性化に加えて、物流施設の高度化、駅ナカビジネス拡充など収益力向上にも取り組んできた。昨年4月には、シナジーのさらなる発揮を目的にグループ会社が保有する泉北高速の全株式を取得し、完全子会社化した。
経営統合の方式は、南海電鉄を吸収合併存続会社、泉北高速を吸収合併消滅会社とする吸収合併方式を前提に検討することで合意しているが、吸収合併契約の内容は未定で、今後両社間で協議の上、決定していく。
今回の経営統合は、鉄道事業の構造的な需要減に歯止めが掛からない状況にあり、将来にわたって人材の確保が困難となることが確実視されている中で、鉄道事業と不動産賃貸事業という同種の事業を営む両社を経営統合し、グループ経営の効率改善を通じてサステナブルな公共交通の経営の実現や、さらに競争力のある流通センターの確立に向けて、経営資源を投入していくことを目指す。
運賃については、堺・泉北エリアにおける「暮らす・働く・訪れる」価値を高め、交流人口・関係人口増加や子育て世代の流入促進の観点から、初乗り運賃の二度払い解消など、地域の声に応えることができるよう検討を進めていく。
検討中の運賃案では、南海電鉄難波―泉北高速泉ケ丘間の普通運賃は490円(現行と同額)、1カ月の通勤定期1万8770円(現行より5210円割安)、通学定期6060円(3610円割安)となっている。
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