交通新聞社 電子版

特集 「ホテルメトロポリタン 羽田」きょう開業

2023.10.17
夜の滑走路に降り立ったかのような客室フロアの廊下

 翼休める「とまり木」のように

 随所に飛行機や空港のモチーフ 

 こだわりと遊び心

 JR東日本グループの日本ホテルが運営する「ホテルメトロポリタン 羽田」がきょう17日、羽田空港跡地第1ゾーン整備事業として開発が進む日本初のスマートエアポートシティ「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」内の「ZONE A」5~10階に開業する。メトロポリタンブランドとしては15番目で、羽田エリア初出店。エアポートライク、バーライクなデザイン要素をちりばめ、「旅に寄り添う、おもてなし」をテーマに、旅の途中で翼を休め、次の行き先に笑顔で飛び立てる「とまり木」のような空間を提供する。(相川 夏子記者)

 駅から徒歩1分

 東京モノレール羽田空港線、京浜急行電鉄空港線天空橋駅HICity(エイチ・アイ・シティ)口改札から徒歩約1分。エントランスに足を踏み入れると、滑走路を思わせる床や、飛行機のエンジンタービンなどをモチーフにしたオリジナルデザインのタイルに早速出迎えられて心が躍る。

 館内はタキシードブラックやローズゴールドを基調とした落ち着いた色合い。インテリアデザインを手掛けた日建スペースデザインによる、こだわりと遊び心が随所に光る。ロビーには所在地の東京都大田区の町工場で制作されたパーツを組み合わせたインダストリアルアートや、大森麦わら細工の柄を取り入れたアート作品が飾られている。

 客室フロアの廊下のカーペットは白線や進入角度の数字が描かれ、まるで滑走路に降り立ったかのよう。客室やレストランなどの家具はオリジナルを中心に用意。ベッドサイドの照明スイッチにはコックピットで見られるトグルスイッチが採用され、ついつい動かしたくなる。

 客室数は237室で、内訳はツイン118室、ダブル119室。バーライクなインテリアが基調で、全室にバーカウンターを彷彿(ほうふつ)させるライティングテーブルを備える。窓ガラスは3枚仕様で遮音性に優れ、ロールカーテンの遮光性も高い。快適な滞在ができそうだ。駐機場が間近に望め、バラエティーに富んだ機体がよく見えるエアポートサイドや、開放的な川越しの景色が楽しめるリバーサイドなど、全13種類の客室タイプが用意されている。

 セルフ方式導入

 設備面では、メトロポリタンホテルズ初の本格導入となるセルフチェックイン機4台をロビーに設置。セルフクロークも備え、利便性向上を図った。

 レストランはフードワークス(東京都目黒区)をパートナーに迎えた、ニューヨークスタイルのイタリア料理を提供する「restaurant il CIELO HANEDA(レストラン イル チェーロ 羽田)」。朝食(6~10時)は、和洋食をはじめ中華がゆやアジア各国の日替わり麵など、約50種類のビュッフェメニューを提供する。

 エアポートサイド 客室から飛行機

 屋上展望デッキ

 屋上展望デッキ「THE ROOFTOP」に上がると360度の眺望が広がり、羽田空港や都心の開放的な景色を一望できる。全天候型のソファ席やカウンターが備えられており、レストランでテイクアウトした軽食などを片手に過ごすのもお薦めだ。

 ■インタビユー

 ホテルメトロポリタン 羽田総支配人        

 小林 正明氏

 ハイブリッドなサービス提供

 ぜひ展望デッキへ 多彩な表情の景色

――開業のご所感は。コロナ禍での開業準備にはご苦労もあったかと思いますが。

 小林 ホテルの新規開業に携わるのは初めてで、大変興奮しています。着任したのは昨年7月ですが、物価の高騰は想定以上で、あらゆる面で洗い出しをしてゼロベースで進めました。人手不足には最も苦労しましたが、幸いにも新規開業に魅力を感じて集まった良き人材たちに巡り合えました。メトロポリタンホテルズとして初めてセルフチェックイン機を本格導入する一方、ヒューマンタッチについてはそのぶん手厚く、ハイブリッドなサービスができればと考えています。

――ホテルの特色を教えてください。

 小林 館内の装飾はシック&エレガントをテーマに、落ち着いた雰囲気に仕上げました。従業員のユニホームはミッドナイトブルーで、新素材のジェンダーレスなデザインにしました。滑走路からヒントを得た廊 下のデザインや、夜の航空路をモチーフにしたエレベーターホールのアート作品など、随 所に飛行機や空港の要素を取り入れています。客室はテーブルを高くするなど、3次元的に部 屋を広く見せる工夫をしています。今治タオルのバスタオルなどリネンにもこだわっており、バーライクな雰囲気の中、ゆっくりとご滞在いただけると思います。

――お薦めの過ごし方は。

 小林 展望デッキにはぜひ足を運んでほしいですね。毎朝、巡回で上がると、朝日に照らされて離着陸する飛行機は壮観です。一方、夜の空港はさまざまな色のライトがきらめいて感動的な美しさです。

――地域との連携についてはいかがですか。

 小林 大田区は広く、魅力にあふれた場所が数多くあります。地域のイベントに合わせた宿泊プランの設定や、地元の銘菓やのり、つくだ煮などが提供できればと考えています。

――今後、どのようなホテルに育てていきたいとお考えですか。

 小林 まずは、選んでいただけるホテルにしたいと思います。羽田空港の利用者はもちろん、HICityには研究施設やコンベンション施設、ライブホールがあるのでその利用者、さらに地域にお住まいの方々にもご利用いただければ。同時に、働きたい職場ナンバーワンを目指しています。お互いの業務を補完しながら、ラグビー日本代表「BRAVE BLOSSOMS(ブレイブ・ブロッサムズ)」のように、ONE TEAM(ワンチーム)で歩んでいきたいですね。

(A)

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