JR北海道 24年3月期決算 純損益4期ぶり黒字
JR北海道は8日、2024年3月期連結決算を発表した。新型コロナウイルスの5類移行を受けた旅行、消費意欲の高まりを受けて2期連続の増収となり、コロナ禍前の19年度比で売上高は94%相当に回復。グループを挙げたコスト削減や、経営安定基金運用益の増加などで営業損失、経常損失は改善した。前期に一部線区の鉄道事業廃止に係る諸費用を特別損失に計上した反動増、国の支援の特別利益計上もあり、当期純損益は4期ぶりの黒字に転換した。次期は、人材確保に向けた人件費や修繕費などの増加で連単共に最終赤字を見込む。
前期の連結は営業損失572億5600万円、経常損失181億500万円、当期純損失164億3800万円。単体は営業損失639億7100万円、経常損失243億8200万円、当期純損失180億6900万円だった。
運輸業はプロ野球観客輸送や順調な空港アクセス輸送が数字を押し上げ、売上高942億円(前期比14・6%増)、セグメント損失563億円(67億円改善)。このうち鉄道運輸収入は698億円(19・3%増)で、新幹線は77億円(39・5%増)。
小売業は土産店やコンビニがいずれも好調で、売上高238億円(4・4%増)、セグメント利益8億円(166・7%増)。不動産賃貸業は商業施設「パセオ」「エスタ」の閉店が影響して、売上高202億円(8・6%減)、セグメント利益43億円(10・4%減)。
ホテル業はインバウンドを含む観光需要を取り込み、売上高100億円(33・3%増)、セグメント利益15億円(275・0%増)。その他は売上高125億円(0・8%減)、セグメント利益13億円(8・3%増)だった。
営業費は、修繕費の増加、小売りの仕入れコスト増で1977億円(3・5%増)。営業外利益は388億円(0・8%減)で、経営安定基金運用益は315億円(7・2%増)、国の支援措置に基づく鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金などを活用した特別債券受取利息は55億円(同額)。
特別利益は国の支援「助成金の交付」159億円などで249億円(28・8%減)。特別損失は線区廃止に係る諸費用がなくなり83億円。
次期の業績予想は、連結は売上高1456億円(1・5%減)、営業損失583億円(83億円悪化)、経常損失243億円(131億円悪化)、当期純損失80億円(33億3900万円の黒字)。単体は売上高857億円(0・8%増)、営業損失631億円(56億円悪化)、経常損失265億円(102億円悪化)、当期純損失83億円(18億9600万円の黒字)。
【JR北海道(連結)】8日
売上高147,794( 10.5)
営業利益△49,962( ―)
経常利益△11,119( ―)
当期純利益3,339( ―)
【JR北海道(単体)】8日
売上高84,988( 16.5)
営業利益△57,493( ―)
経常利益△16,257( ―)
当期純利益1,896( ―)
単位百万円、カッコ内増減%
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