交通新聞社 電子版

元旦号 JR西日本 今年の話題

2024.01.01
北陸新幹線の敦賀延伸により、W7系はさらに地域振興に寄与していく(JR西日本提供)

 北陸新幹線、3月16日敦賀延伸

 北陸DCに合わせ新観光列車

 「イノゲート大阪」秋開業

 「やくも」273系4月デビュー

 昨年は、大阪駅「うめきたエリア」地下ホーム・コンコースを3月に開業したほか、グループ共通の新ポイントサービス「WESTERポイント」を同月にスタートさせ、ニーズ獲得に向けた多彩な施策を展開するなど、各方面の取り組みで進展があった。

 経営的にみると、2024年3月期第2四半期連結決算は、鉄道利用の回復、好調なインバウンド需要により、売上高7699億円(前期比124・8%)、運輸収入はコロナ前との比較(19年比)で89・9%の水準に。

 今年は人の動きが戻ってきた中で、これまで整備してきたシステム・サービスの活用・充実を図りながら、さらなる地域間流動の促進、沿線地域の活性化への寄与を目指す。

 北陸新幹線金沢―敦賀間はいよいよ3月16日に開業する。同区間の途中駅は小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふ。使用車両はE7系(JR東日本)、W7系(JR西日本)の各12両編成。

 1日当たりの運転本数は、東京―敦賀間が計14往復。内訳は「かがやき」9往復、「はくたか」5往復。このほか敦賀で在来線特急「サンダーバード」や「しらさぎ」と接続する「つるぎ」を25往復(富山―敦賀間18往復、金沢―敦賀間7往復)運転。早朝・深夜時間帯には特急との接続がない「つるぎ」も設定する。

 最速達列車の所要時分は、東京―福井間(北陸新幹線利用時)の場合、36分短縮の2時間51分となる。首都圏からの旅行者の増加が期待されるほか、新幹線が敦賀まで延伸されることで、北陸エリア内での移動のしやすさも向上する。

 

 新感覚のバス初夏に登場へ

 JR西日本では、これを契機として観光需要の喚起に向けた取り組みも注力するが、話題を呼びそうなのが初夏に登場予定のバス「新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ!福井号」。

 福井の魅力を拡張現実(AR)・仮想現実(VR)映像を車窓に映し出して、乗客に楽しんでもらうもので、福井県内の企業などと共に準備を進めている。運行は、福井駅を起点として県立恐竜博物館などを結ぶ3コースを計画している。

 また、新幹線の敦賀延伸開業後の10~12月に開催される北陸デスティネーションキャンペーン(北陸DC)に合わせて、新たな観光列車「はなあかり」(キハ189系の改造、3両編成)がデビュー。

 同列車は、エリアを変えながら西日本各地で運行するが、第1弾は敦賀から若狭・京都府北部を通り、城崎温泉までのルートとし、DCの盛り上げや、新幹線敦賀延伸効果の広域への波及などにつなげる。

 大阪駅西側で進めるまちづくり関連のプロジェクトでは、「JPタワー大阪」(日本郵便、JTBなどとの共同事業)、新駅ビル「イノゲート大阪」が開業する。

 JPタワー大阪は、地上39階・地下3階・塔屋2階建てで、3月に竣工(しゅんこう)。ビル内では商業施設「KITTE大阪」が7月にグランドオープンし、夏にJR西日本ホテルズの新ブランドホテル「THE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collection(大阪ステーションホテル、オートグラフ コレクション)」が開業予定。

 同ホテルの延べ床面積は約3万6500平方㍍で、客室は30~38階に418室が設けられる。付帯施設は、宴会場、レストラン、フィットネスジムなど。

 一方、イノゲート大阪は、地上23階・地下1階建てのビルで、秋に開業する。施設構成は、オフィスフロアを主体とするとともに、ワークスタイルの変化、多様化に対応するため、貸会議室、フレキシブルオフィス、ラウンジなどを導入する。

 名称は「Innovate(革新する)」と「gate(ゲート)」の組み合わせで、新しいものに挑んでいく、新しいビジネスを生み出していく、自由で前向きなマインドを歓迎する入り口になりたいという思いを込めた。3~5階には飲食ゾーン「バルチカ03」がオープンし、駅周辺で働く人たちのニーズにこたえる。

 このほか、大阪駅「うめきたエリア」地上部の広場、連絡デッキなどが夏ごろに使用開始になり、にぎわい空間の創出に寄与する。

 山陰方面では、岡山―出雲市間(伯備線経由)の特急「やくも」の新型車両「273系特急形直流電車」(4両編成)が4月6日デビュー。

 デザイン面では、山陰エリアへ向かう列車であることの表現や、沿線の自然に映える車体とする観点から「やくもブロンズ」の塗装が施される。サービスレベルは、カーブの多い伯備線に適した「車上型制御付き自然振り子」の採用、グループ向け座席「セミコンパートメント」の設置などでアップする。

 

 広島新駅ビル引き続き推進

 広島エリアでは、広島新駅ビル開発を引き続き推進する。ビルは地上20階・地下1階建て、開業予定時期は25年春。用途は、ショッピングセンター(SC)、シネマコンプレックス、ホテル、駐車場など。市の駅前広場基本方針に基づき、2階の中央アトリウム空間には広島電鉄の路面電車が乗り入れる。

 ホテル名称は昨年11月に「HOTEL GRANVIA HIROSHIMA SOUTH GATE(ホテルグランヴィア広島サウスゲート)」に決定。客室は9~20階に計380室設けられる。

 三ノ宮駅前に29年度開業予定の「(仮称)JR三ノ宮新駅ビル開発計画」は、春から本体工事に着手する見込み。

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