JR四国 四之宮次期社長が会見 四国の未来づくりに貢献
利用者視点で利便性向上
JR四国の西牧世博社長と次期社長に内定した四之宮和幸専務・総合企画本部長は21日、本社で記者会見に臨んだ。四之宮専務は同社発足後採用の最初の社長。経営方針として、「長期経営ビジョン2030」「中期経営計画2025」などの現行施策を着実に推進するとともに、M&Aなどによる非鉄道事業のさらなる収益拡大に意欲を見せ、「安全の確保を根幹に、安心して信頼されるさまざまな事業、サービス提供型ビジネスを通じて、運命共同体である四国の未来をつくることにグループ一丸となって貢献していきたい」と抱負を述べた。
会見は、斉藤鉄夫国土交通大臣が同日の閣議で、同社を含む特殊会社9社の代表権を有する会長、社長人事を報告し了解されたことを受けて開いた。
西牧社長は交代の背景として、コロナ禍の20年6月の就任以来、運賃改定(昨年5月)、非鉄道事業拡大などの施策で業績が回復し、23年度連結決算の最終損益が4期ぶりに黒字転換したこと、25年度の目標達成のめどが立ちつつあることなどを挙げ、「明るい兆しが見えてきたと考えており、目標達成が射程に入ってきた。このような状況から、今が社長を交代する時期として良いと考えた」と説明。
また、現行中計を推進しつつ、26年度以降の新たな経営計画を策定していく上では、新たな体制で取り組み、スタートさせた方が良いと判断したことも挙げ、「持続可能な経営体制の構築に向け、代表権のある会長として、社長と共に経営課題の解決に全力で取り組んでいく」と述べた。
在任中の成果として、運賃改定をベースにした決算の黒字化や、ホテル、マンションなどを含む不動産事業拡大への再チャレンジを可能にしたことを挙げた一方、ローカル線問題については「(自治体と)入り口の議論をしたかったが、かなわなかったのが心残りだ」とした。
四之宮専務の人物像については、「多くの職歴があり、業務の経験と知識が豊富。明るく、前向きで先取の気性があり、改革する意欲に富んでいる。経営環境が良くない中でも頑張ってきた精神的な強さがあり、逆境にも耐えられる」と評した。
四之宮専務は「『長期経営ビジョン2030』の4年目で社長のバトンを引き継ぐことになり、身の引き締まる思い」と述べ、「将来のありたい姿」やその実現に向けた「三つのミッション」、事業計画などの施策を踏襲すると表明した。
経営上の目標数値では、コロナ禍の影響を考慮せずに策定された現行中計の「25年度における単体の経常利益3億円」と「鉄道運輸収入236億円」を挙げ、「この236億円にどれだけ近づけられるかが、経営努力の一つの指標になる」とした。
鉄道の利用促進については、「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱ」の中間整理に基づき、全路線を対象に「利用者の視点に立って利便性向上を図ることを同時並行的に進めていきたい」とした。利用の少ない線区については、従来同様に「入り口の議論」に向け、地元自治体などへの丁寧な説明を行っていきたい考えを明らかにした。
「四国の新幹線」については、「四国地域の経済発展や、南海トラフ地震が起きた時の交通手段確保の意味でも、強力な輸送手段になる。その観点からも必要な事業と思う」と述べ、鉄道事業者としての知見を生かし、関係団体や自治体の活動に協力していく方向。
非鉄道事業については、「新たな成長の種を探し、まき、育てることに尽力する」とし、M&Aや「四国・リレーションシップファンド」による収益拡大を図る方針を示した。
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