JR西日本 地球環境保護の取り組みの進捗発表
列車電力へ再エネ追加導入
燃料電池車両導入 仕様、試験内容の検討開始
JR西日本の長谷川一明社長は24日の定例会見で、「JR西日本グループ長期ビジョン2032」「中期経営計画2025」におけるグループの地球環境保護の取り組みの進捗(しんちょく)状況について発表した。列車運転用電力への再生可能エネルギー由来電力の追加導入や、燃料電池車両導入に向けて車両仕様や試験内容の検討を開始したことなどを明らかにした。長期ビジョン2032の「実現したい未来」のビジョンに掲げる「安全、安心で、人と地球にやさしい交通」「持続可能な社会」の実現に向け、環境をはじめとするサステナビリティーの取り組みを一層推進していく。
同社は、グループ全体の環境の取り組み指針「JR西日本グループ環境基本方針」の下、「地球温暖化防止・気候変動対策」「循環型社会構築への貢献」「自然との共生」の三つの分野を柱に、グループと各カンパニーにおいて環境目標を設定。グループ一体で地球環境保護に取り組んでいる。
具体的には、大阪環状線・JRゆめ咲線(桜島線)列車運転用電力への再エネ由来電力の導入100%を、4年前倒しして昨年度末で達成。さらに、25年度目標としてきた脱プラスチックの取り組みの推進として、ホテルカンパニーにおけるプラスチック製アメニティーなど環境配慮素材への100%置き換えや、客室で提供される飲料水のペットボトルの使用ゼロ化を、2年前倒しで実現している。
今回新たに、JR京都線、神戸線(東海道線・山陽線)、JR宝塚線(福知山線)などの京阪神エリアの主要線区への再エネ電力導入を開始。27年度には、同社の在来線全体の運転用電力の約11%を再エネ電力に置き換える。
また、山陽新幹線新大阪―岡山間では本年度中に、同社専用の太陽光発電設備で発電された再エネ由来の電力を列車運転用電力として導入する予定。発電容量ベースで約1万8000㌔㍗。電力量ベースでは年間約3000万㌔㍗時で同新幹線全区間の年間運転用電力量の約2・5%に相当する。二酸化炭素(CO2)排出削減量は一般家庭約4900世帯分に当たる年間約1万2800㌧。
大阪ステーションシティ・ノースゲートビルディングとサウスゲートビルディングでは今年4月から、使用する電力を100%再エネ化。7月31日開業予定の新駅ビル「イノゲート大阪」も同様に再エネ電力を100%使用する。昨年公表した同駅うめきたエリア(地下駅、地上駅ビル)に加えて、同駅エリアの同社グループ主要施設の100%再エネ化が実現する。
鉄道アセットを活用した水素利活用の拡大による地域の経済・産業の持続的発展では、水素輸送による地域外への水素利活用の展開に向けて、JR貨物と岡山地区における水素輸送・供給に関する調査検討を開始した。
軽油を燃料にして走行する気動車の将来的な置き換えを目指す取り組みでは、三菱電機(東京都千代田区)、トヨタ自動車(愛知県豊田市)と連携し、燃料電池車両導入に向けて車両仕様や試験内容の検討を行う。
各社の役割分担は、JR西日本は各システムの車体への搭載検討、車両仕様検討、三菱電機は燃料電池システムと組み合わせた主回路システムの開発、トヨタ自動車は燃料電池システム・水素貯蔵システムの提供。
このほか、島根県美郷町と連携し、同社が旧三江線沿線に所有する鉄道林について、水源涵養(かんよう)や土砂災害防止などを目的に、線路敷を活用した木材搬出技術の実証や評価などの森林再生実証実験に取り組む。広島大学(広島県東広島市)、鳥取大学(鳥取市)との共同研究。来年3月末までの予定。
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