交通新聞社 電子版

特集 箱根遊船 芦ノ湖遊覧船を改装「箱根遊船 SORA KAZE(そらかぜ)」の運航開始

2024.03.13
芦ノ湖を行くSORAKAZE。奥には富士山や平和の鳥居も見える

 富士急グループ 「はこね丸」大幅改装

 〝湖上の公園〟ゆったりとしたひと時を

 富士急グループの箱根遊船(神奈川県箱根町)は、富士山の日の2月23日、箱根・芦ノ湖の遊覧船「箱根遊船 SORAKAZE(そらかぜ)」の運航を開始した。遊覧船「はこね丸」を大幅改装、「芦ノ湖に浮かぶ緑の公園」をコンセプトに、富士山のモチーフを散りばめた船で、4月にはデッキ部や船尾に天然芝とツタの植栽を行う予定だ。船内には多彩な座席スペースが設けられ、気に入った場所から季節ごとにさまざまな表情を見せる芦ノ湖の景色を楽しめる。(鴻田 恭子記者)

 

 箱根遊船は、芦ノ湖で遊覧船事業を運営する2社のうち1社の事業譲渡により、遊覧船3隻と港、施設などを譲り受け、2023年3月に運航を開始した会社だ。今回の 「SORAKAZE」は3隻のうち1隻を大幅に改装している。

 3隻はいずれも船体2隻分の幅を持ち、運航時の安定性に優れた「双胴遊覧船」。うち、「SORAKAZE」は、全長27・5㍍、幅11・6㍍、総㌧数265㌧で、航海速力11・0㌩(時速約20・4㌔)。デザインはJR西日本グループの特急「WEST EXPRESS 銀河」などを手掛けたイチバンセン代表取締役・川西康之氏による。

 外観の特徴は、白い船体前面の鶴や結び目をモチーフにした赤い水引風のラインと、4階デッキの赤富士モチーフのモニュメント。和の装いで、芦ノ湖を取り巻く山々の緑、富士山や船上から見える箱根神社の平和の鳥居など、周囲に溶け込むデザインとした。4月には船尾にツタが植栽される予定だ。

 3階デッキには富士山をモチーフにした広場とブランコ風のベンチが設置された。広場には富士山のデザインの周囲に天然芝が植えられる予定で、ツタとも相まって緑の公園の風情を高めてくれそう。3、4階デッキには庭園にあるような飛び石も配置されている。

 船内は出入り口すぐの1階をバリアフリー化し、売店とバリアフリー席、車いすスペース、多目的トイレなどを設置。ガラス越しに操舵室が見える場所は、靴を脱いで利用するキッズスペースで、子どもたちの船旅のワクワク感を盛り上げてくれる。売店ではジェラートやクラフトビール、富士山型のクッキーが入ったボトルなどオリジナル商品も販売している。

 2階は小上がりスペースやハンギングチェア、赤富士をイメージしたソファ席、湖に向いたカウンター席などを用意。1人でもグループでも、好みの席で思い思いに過ごせるようにした。

 運航は9時20分~16時の間で1日10便前後。箱根遊船の船は3隻あるが、水曜日以外は「SORAKAZE」中心の運航となる。富士急グループでは就航を機に、エリアの魅力再生・発展に向けた地域との取り組みを推進、さらにグループが携わる富士五湖から芦ノ湖、静岡県十国峠・熱海エリア

一体となったさらなる観光需要の創出を目指す。

 ■自然、環境の要素詰め込む

 ◇イチバンセン代表取締役・川西康之氏

 「箱根遊船」という社名にちなみ、船全体を公園に見立てて遊びの要素を取り入れた。今回のリニューアルは富士急グループにとって箱根での大プロジェクトで、箱根での顔見せという面もある。(木を切らないことを原則とするなど環境保全を重視する)富士急行という会社の姿勢を示す意味で、プラスチック製の人工芝ではなく天然芝にこだわるなど自然、環境の要素を詰め込んだ。遊びの要素は、グループの富士急ハイランドのイメージにもつながっている。富士山のモチーフも、さまざまな場所に取り入れた。芦ノ湖に浮かぶ公園を楽しんでほしい。

検索キーワード:JR西日本

1,519件見つかりました。

921〜940件を表示

<

>