JR東海 東海道新幹線N700Sに個室 26年度サービス開始 1編成に2室
JR東海の丹羽俊介社長は17日の定例会見(東京)で、東海道新幹線N700S車両の一部に個室を導入すると発表した。1編成に2室を設置し、2026年度中にサービスを開始する予定。具体的な設備の仕様やサービスの内容、運転区間、価格などの詳細については、今後順次発表する。同新幹線での個室の設置は、1985~2003年に営業運転を行っていた100系以来。
同社では22年10月に「当社が目指す鉄道の将来像」を発表。この中で「多様なニーズに応じた高付加価値サービスの提供」を掲げ、「新幹線の新たな座席のあり方を検討する」としていた。具体的には、ビジネス環境を一層高めた座席や、移動時間をより快適に過ごせるようなグリーン車の上級クラス座席などを検討。個室はその一環で、グリーン車よりもさらに上質な設備、サービスを備えることにした。
個室の設置車両は、N700Sのうち3月から投入を開始した2次車で、検査のタイミングで改造工事を行う。2次車は引き続き計19編成を投入する計画としており、工事が間に合う編成は新造時から設置する。設置場所はデッキ部を活用する方針で、全体の座席数は変えない。同社が保有する東海道新幹線全131編成のうち、1割強に個室を設置する計算になる。
1室1~2席を用意する考えで、高いプライベート感とセキュリティー環境を確保した完全個室タイプとする。オンラインでの打ち合わせを気兼ねなく行いたいビジネスパーソンや、プライバシーを重視する利用者、周囲を気にせずくつろぎたい利用者などさまざまな利用層、シーンを想定する。
設備面では、専用のWi―Fi、レッグレスト付きのリクライニングシートのほか、照明の明るさ、空調の風量、放送の音量を個別に調整できる機能を整備する。
運転区間は同新幹線の東京―新大阪間をはじめ、山陽新幹線を含む同―博多間を念頭にJR西日本と調整していく。価格はグリーン車を上回る設定を見込む。
丹羽社長は個室の導入について、「生活様式や働き方の変化による移動需要の多様化に応えるもの。ニーズによって使い分けができ、選択肢が増える位置付けだ」とした上で、新幹線の新たな座席のあり方に向けては「引き続きグリーン車の上級クラスの座席の設定も考えている。さまざまなニーズにお応えする形で、いろいろな可能性を検討していきたい」と述べた。
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