JR西日本 グループの技術・ノウハウ結集 ビジネス拡大へ
ソリューション営業企画部
車両転用・リニューアル改造清掃ロボット導入を支援
JR西日本グループは、グループ会社の技術・ノウハウをベースにしたビジネス拡大に取り組んでいる。これまで推進してきたアウトバウンド型オープンイノベーション活動について、より実のある価値創出を目指していくもので、昨年11月に新規商材の発案・企画・納入までをマネジメントする「ソリューション営業企画部」を設置するとともに、車両をはじめとした転用・リニューアル改造、清掃ロボット導入支援サービスなどのソリューション提案を展開している。
今回の取り組みの背景には、同社グループが鉄道の安全・安定輸送やサービス向上、生産性向上を実現するために各系統で培ってきた技術・ノウハウが、他鉄道会社をはじめ共通課題を持つ社外の事業者にも有用と考えられることがある。同社グループでは、新たな価値を創造する企業グループへの進化、ライフデザイン分野の拡大につなげていきたい考えだ。
ソリューション営業企画部は、同社グループ独自の知見、ノウハウを生かし、具体的なソリューションを顧客起点で提案していくため昨年11月に設置。メンバーは、出身系統(施設、車両、運輸、建設、電気、事務)、経歴も多種多様なバックグラウンドを持つ20人。グループ各社からの逆出向者からなる技術営業部隊を組成するなど、フロントで営業企画を担当する対外人財の育成にもグループとして取り組んでいる。
展開しているソリューション提案活動のうち、「車両をはじめとした転用・リニューアル改造」では、車両のリニューアル、各種改造工事や関連設備に関する多岐にわたるノウハウを生かし、中小鉄道事業者などの車両や関連設備の経年劣化に伴う置き換えニーズに対応する。鉄道事業者の廃棄契約などの情報収集を継続的に行い、事業者間を取り持ちつつ、車両や部品、設備譲渡に伴う改造や部品整備で事業者に貢献する。
具体的には、企画立案から基本設計、詳細設計を通じて事業者のニーズを形にし、新たなサービス企画に見合った車両リニューアル、ワンマン化、短編成化、観光列車化などの各種改造工事を施工する。納品後のさまざまな部品メンテナンス、設備機械の据え付け・整備などにも対応できるとみている。
現在は、一部の事業者と導入に必要な設計にかかわる契約に至るなど、特に車両の更新・譲渡を検討している約10の事業者と具体化に向けて調整している。
清掃ロボット導入支援サービスは、駅・商業施設などさまざまなロケーションで培ってきた清掃ロボットユーザーの経験と、特定の清掃ロボットメーカーに偏らない最新の情報や豊富な知見を基に、ビルのオーナー、ビルメンテナンス会社などをサポートする。
サービス内容は、顧客ニーズに合った最適な機種の選定、導入効果の算出、現場での実機検証、購入支援、初期設定やマッピング支援など運用に向けたサポートなど。現在は、オフィスビル、病院などへの複数の清掃ロボット導入案件で具体的な契約に向けた話が進められている。
このほか、案内業務の効率化に対応した同社グループ独自のAI(人工知能)案内システムや、第4種踏切の安全性向上を目指した「踏切ゲート―Lite」など、全国の鉄道事業者に対して課題解決に資するソリューション提案、社外展開を行っている。
18日の定例会見で長谷川一明社長は「当社グループが有する有形無形の鉄道アセットをベースに、クライアントや社会の課題解決にワンストップで伴走しながら、人と企業と技術のつながりを深め、進化させ、新たな価値を創造するビジネスモデルを築きたいと考えている」と述べた。
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