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JR西日本 次世代バイオディーゼル燃料導入に向けた実証 岩徳線営業列車で9月3日から走行試験

2024.08.27
㊨キハ47形に貼付するシールのイメージ㊧会見した広岡支社長(左)と千村部門長=JR中国統括本部提供=

 JR西日本と伊藤忠エネクス(東京都千代田区)は23日、次世代バイオディーゼル燃料の導入に向けた取り組みとして、9月3日から岩徳線岩国―徳山間(櫛ケ浜―徳山間は山陽線)の一部営業列車で同燃料を100%使用した長期走行試験を実施すると発表した。キハ47形2両1編成を使用して、長期的に使用した際の車両性能への影響を確認する。2025年1月31日まで。本年度の試験結果を踏まえ、25年度以降の本導入を目指す。

 次世代バイオディーゼル燃料は、軽油と成分がほぼ同等であることから、軽油からの100%置換が期待されている燃料。JR西日本では、50年に同社グループ全体の二酸化炭素(CO2)排出量「実質ゼロ」を目指す取り組みの一環として、ディーゼル車両の燃料を次世代バイオディーゼル燃料に置き換えることを目指しており、導入に向けた実証実験を22年度から実施している。

 また、国土交通省が公募した「鉄道技術開発・普及促進制度 令和4年度新規技術開発課題」(鉄道車両におけるバイオディーゼル燃料の導入に向けた技術開発)として、鉄道総研とJR7社での実証実験がJR西日本エリアを中心に行われている。

 実証実験では、22年度はエンジン単体での性能試験、23年度は気温の影響の確認などを目的に山陰線下関―小串間で夏期(7~9月)、通常期(10~11月)、冬期(12~1月)にDEC700形、キハ40形の2種類の車両を使用して走行試験を行い、次世代バイオディーゼル燃料使用時の出力や燃費が軽油と同等であることを確認した。

 今回の試験では、世界最大級のリニューアブル燃料メーカーのNeste社(ネステ、フィンランド)が製造する「Neste MY Renewable Diesel」(RD)を伊藤忠エネクスが供給。食料と競合しない廃食油や廃動植物油などを原料とし、温室効果ガス(GHG)排出量削減を実現する。

 RDは、既存の車両や給油関連施設を利活用できる「ドロップイン」燃料のため、脱炭素施策にかかるコストを最小限に抑えられる。同燃料を使用して走行するキハ47形には、前面と側面にシールを貼付する。

 同日は山口市内で記者会見が行われ、広岡研二JR西日本理事・中国統括本部副本部長・広島支社長、千村裕史伊藤忠エネクス執行役員・産業ビジネス部門長が出席。

 広岡支社長は「営業列車において次世代バイオディーゼル燃料100%で運行するのは国内初の取り組み。本年度は本格導入に向けた最終ステップとして、走行試験を実施していく」と述べた。

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