JR東海・JR西日本 東海道・山陽新幹線 CO2排出量実質ゼロ化サービス 4月に開始
「EX予約」法人会員対象
JR東海とJR西日本は15日、東海道・山陽新幹線の会員制ネット予約サービス「エクスプレス(EX)予約」の法人会員(約3万5000社)を対象に、同新幹線利用に伴う二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロになるサービスを4月に開始すると発表した。同法人会員で、バイオ・医薬品のグローバル企業「アストラゼネカ」(大阪市)がパートナーとして参画する。同サービスの展開を通じて、地球環境保全に関心のある利用者に向け、さらに安心して同新幹線を利用できる環境を整備していく。
これまでJR東海とJR西日本は、鉄道の移動に伴うCO2排出量を減らす取り組みとともに、同新幹線の各駅間のCO2排出量の公表など、鉄道の環境優位性の理解促進を進めてきた。
一方のアストラゼネカは、人々の健康の実現には社会と地球が健康でなくてはならないと考え、科学的根拠に基づいた環境対策を戦略的優先項目として位置付け。2019年からは、社員の国内移動においてCO2排出対策に取り組む中で、東京―大阪間の出張を飛行機から新幹線に切り替える「スマートトラベル」を導入した。併せて、出張に伴うCO2排出量の上限を設定する考え方「CO2バジェット」を取り入れている。
3社は、それぞれの取り組みに対する考えが一致したとして、昨年8月から連携して今回のサービスのスキーム構築を進めていた。
スキームでは、太陽光発電などの発電時に、CO2を排出しない再生可能エネルギー電源由来の非化石証書を付与した電気「CO2フリー電気」を活用。JR東海とJR西日本が電力会社からCO2フリー電気を購入し、EX予約法人会員の出張利用分に充当する。同会員は購入分の追加料金を支払う。片道1人当たりの追加料金は、東京―新大阪間で数十円、同―博多間で数百円程度と見込んでいる。
その上で、JR2社は同会員にCO2削減効果の証書を発行する。CO2フリー電気を活用した新幹線での移動に伴うCO2排出量が実質ゼロとなるサービスは国内初。アストラゼネカでは今回のサービス導入で、東京―博多間の昨年1年間のCO2排出量約184㌧を削減できると推計している。
JR東海の丹羽俊介社長は同日の定例会見(東京)で「EX会員法人会員からは、出張時の交通手段選択で環境面を考慮したいというニーズがあった。これに応えるとともに、地球環境保全に関心を持つ方々に新幹線が選ばれることにつながればと考えている。今回のサービスを通じて、CO2排出量削減という課題に一層貢献していきたい」と述べた。
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