国交省 JR城端線・氷見線の再構築実施計画を認定 あいの風とやま鉄道に移管へ
地域交通法改正法施行後初めて 新型車両導入や直通運転など
国土交通大臣は8日、JR西日本とあいの風とやま鉄道、富山県など7者が昨年12月22日付で申請していた城端線・氷見線の鉄道事業再構築実施計画について、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(地域交通法)」第24条第2項に基づき認定した。昨年10月の同法改正法施行後、同計画の認定は初めて。計画期間は今月15日から2034年3月末までの約10年間で、計画開始5年後をめどに両線をあいの風とやま鉄道に譲渡。新型車両の導入や増便、高岡駅での直通運転などを行い、両線の利便性・持続可能性を向上させる。
城端線(高岡―城端間、29・9㌔)と氷見線(高岡―氷見間、16・5㌔)は、15年3月の北陸新幹線金沢開業に伴う北陸線の並行在来線区間の第三セクター鉄道移管により、JR西日本の他の在来路線から切り離された。いずれも単線非電化で、高岡で同鉄道線と接続。輸送密度(22年度)は城端線2481人、氷見線2157人。
両線については、利用促進策などが検討されてきたが、昨年3月に県と沿線4市(高岡市、氷見市、砺波市、南砺市)、JR西日本が、新型車両導入を含めた鉄道の利便性・快適性向上施策について合意。7月から再構築検討会を開催していた。
計画認定の必要条件である事業構造の変更については、計画開始からおおむね5年後をめどに、第一種鉄道事業者をJR西日本から同鉄道に変更する。
地方公共団体その他の者による支援の主な内容は、▽鉄道施設などの更新・整備・修繕に要する経費を県と沿線4市、JR西日本の負担により支援▽県と沿線4市が同鉄道に出資するとともに、経営安定基金を設置して支援▽事業主体変更後に安全かつ円滑な運行を行うため、JR西日本が運転士、施設・電気・車両など技術系要員の確保に協力▽JR西日本が150億円を拠出し、施設整備費の一部に充当するほか、事業主体変更時に経営安定基金に拠出――など。
利用者利便の確保に関する主な事項は、▽環境性能に優れた電気式気動車など新型鉄道車両の導入(事業費173億円)▽事業開始からおおむね2年後をめどに交通系ICカードへ対応(4億6000万円)▽レール更新、PCマクラギ化など既存設備の改良(53億円)▽運行本数の増加、パターンダイヤ化に向けた改良(44億8000万円)▽両線直通化に向けた高岡駅の改良(37億8000万円)▽その他(28億円)――など。
事業費は合計341億2000万円で、各項目とも社会資本整備総合交付金を活用する予定。
再構築事業の効果として、高岡駅を中心に東西南北を結ぶ鉄道路線が同一の運行主体となり、富山県西部の交通ネットワークが強化される。1日当たりの利用者数は、22年度の9609人から計画最終年度の33年度は1万2000人以上に増加、路線収支の赤字は10億8600万円から7億600万円に縮小する見通し。毎年度の収支差は、経営安定基金から補てんしていく。
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